半坪ビオトープの日記

大沼公園


函館駅から北、10数kmの距離に大沼国定公園がある。背後に望むことができる北海道駒ケ岳の火山活動によってできた堰き止め湖で、大沼、小沼、蓴菜じゅんさい)沼の集まる地域である。

大沼湖畔遊歩道は3つあり、右手の大島の路は徒歩15分、中央の島巡りの路は50分、左手の森の小道は20分で1周できる。

公園内には大小126の小島が浮かび、春から秋にかけてはサイクリング、ランニング、ボート、遊覧船など、冬にはスノーモービルやワカサギ釣りなどのアウトドアスポーツを楽しむことができる。

広場正面の後楽橋を渡って島巡りの路を進むと、右手の島に西大鳥橋が見え、手前にボート、橋の向こうに遊覧船が走るなど、微笑ましいのどかな風景が広がる。

大沼湖畔は多くの島々と複雑に入り組んだ入り江が変化に富んだ景色を構成しているので、水際を歩き進むと次々に変わっていく光景をパノラマのように楽しむことができる。

まだ芽が吹き出し始めたばかりの木々の間からは、雪の残る駒ケ岳(1131m)の勇姿を随所で眺めることができ、足を止めることが多くなる。駒ケ岳を眺める大沼公園は、静岡の三保の松原、大分の耶馬渓とともに新日本三景に選定されてから、昨年、百年を迎えた。

島巡りの路は、最初の公魚(わかさぎ)島、浮島、アイヌ島と続く7つの島を巡るトレッキングコースで、それぞれの島をつなぐ橋を渡りながら、湖畔のミズナラやブナ、ハンノキなどの木々や水際の植物、水辺のマガモカルガモなど、大自然を満喫しながら、北海道では珍しい日本庭園的な景観を味わうことになる。

駒ケ岳は、寛永17年(1640)、安政3年(1856)、昭和4年(1929)に大爆発を起こし、平成8年には小噴火を起こし、現在でも小規模な噴気活動が見られる。外輪山を形成する山頂部は、安政火口など3つの火口を中心として、剣ヶ峰(1131m)、砂原岳(1113m)、隅田盛(892m)の3つのピークからなり、これらのピークに囲まれて荒涼とした火口原が広がっている。

ちょうどGWの最中なので、函館の五稜郭ではソメイヨシノが満開だったが、ここ大沼公園ではエゾヤマザクラが満開を迎えていた。エゾヤマザクラは、正式にはオオヤマザクラ(Cerasus sargentii)というが、北海道全域に多く見ることができるため、エゾヤマザクラの別名を持つ。ソメイヨシノに比べて花色が濃いためベニヤマザクラとも呼ばれ、開花と同時に茶色っぽい葉も同時に開くのが特徴である。

日の出橋から袴腰橋、金波橋、湖月橋と立て続けに橋を渡ってコースの北部を反時計回りに回って行く。途中、木々の間に五輪石塔が建っていたが、由来はわからなかった。

北の方向には駒ケ岳が見えるが、東の方向には浮島橋が見え、その向こうには横津岳(1166m)と思われるなだらかな山が望まれる。

やがて湖畔にはカフェが現れ、近くの水際にはエゾノリュウキンカ(Caltha palustris var. barthei)の鮮やかな黄色い花が咲いていた。