半坪ビオトープの日記

大湯沼、倶多楽湖


地獄谷はその北にある日和山(377m)の噴火活動によってできた広大な爆裂火口跡であるが、その日和山のすぐ麓にも周囲約1km、深さ22mの爆裂火口跡があり、ひょうたん型の大湯沼となっている。

大湯沼の表面温度は50℃で灰黒色をしている。最深部は130℃の硫黄泉が噴出していて、中洲に入ると埋って煮え死んでしまうので危険である。

次々と湧き上がる水蒸気が風に吹かれて荒れ狂い、日和山の姿もかき消す様は不気味である。昔は沼の底に堆積する「硫黄」を採取していたという。

大湯沼のすぐ右手(東)に小さな奥の湯がある。この沼も大湯沼と同じく日和山が噴火した時の爆裂火口の一部である。

直径が約30mの円形の湯沼で、「ふき」という円錐形の沼底から灰黒色の硫化水素泉が噴出している。成分は大湯沼と同じだが、硫黄はそこに蓄積せずに流出している。沼の表面温度は75〜85℃と高く湯釜のようで、このような湯沼は世界的にも珍しく、学術的にも貴重な生きた火山活動の姿が観察できる。

大湯沼から林道に戻り、さらに東の山の中にある倶多楽湖に向かうとすぐに、大湯沼を見下ろすことができる展望台がある。大湯沼と日和山が一望のもとに眺められる。

大湯沼も奥の湯も噴火活動の爆裂火口跡だが、デイサイトによる溶岩ドームの日和山自体も、今なお噴煙を上げ続けている生きた火山そのものであり、いつまた爆裂するかわからない。

倶多楽湖白老町)は、登別温泉登別市)の東側約2kmの位置にあり、林道を進むと湖を見下ろす展望があるが、残念ながらあまりよく見えない。

人気のない林道をなおも下って行くと、湖畔には夏季のみ営業のレストハウスがあるが、人が見当たらずひっそりしている。支笏洞爺国立公園特別区域内で開発が制限され、湖を一周する道路もない。倶多楽湖(クッタラ湖)の名は、アイヌ語の「クッタル・ウシ・トー」(イタドリが群生する湖)が由来である。

倶多楽湖は、周囲約8kmの丸いカルデラ湖で、流入・流出する川がなく水質はきわめて良い。環境省の2001年度公共用水域水質測定結果では1位となり、透明度は摩周湖に次いで2位とされる。俱多楽火山は、玄武岩-安山岩成層火山体で、約8万年から4万5千年前までの期間に複数の火口で火砕流を伴う大規模な噴火を繰り返し、約4万年前までの活動で倶多楽湖を形成した。約1900年前と約200年前に活動したと考えられている。湖の周囲には標高500m前後の外輪山が形成されており、最高地点は東端(右端)にある窟太郎山の534mである。