半坪ビオトープの日記

登別温泉、地獄谷


室蘭を見て回った後に、通り過ぎていたこの日の宿泊地、登別温泉に向かった。地獄谷は、登別温泉の北東に位置する日和山の噴火活動によってできた爆裂火口跡である。

地獄谷の直径は約450m、面積は約11ha、谷に沿って数多くの湧出口や噴気孔があり、泡を立てて煮えたぎる風景が「鬼の棲む地獄」の由来となった。地獄谷の西から北にかけて一周約10分の遊歩道が伸びている。左手前に見えるのは、薬師如来が祀られている展望台である。文久元年(1861)硫黄を採掘していた南部藩の家臣がお堂の下に湧く温泉で目を洗い、眼病が治ったと伝えられている。堂内にはお礼に寄進した石碑が安置され「目の湯」として親しまれている。

地獄谷から振り返って見えるのは、登別温泉の第一滝本館という老舗旅館で、大浴場から地獄谷が展望できるという。登別温泉は、江戸時代から温泉の存在が知られ、明治時代に温泉宿が開かれ保養地・観光地になった。地名の語源はアイヌ語の「ヌプル・ペツ」(水色の濃い川)に由来する。硫黄泉や食塩泉、明礬泉やラジウム泉など、世界でも珍しく9種類もの泉質があって「温泉のデパート」と呼ばれ、常に日本の温泉百選の上位に選ばれている。

地獄谷は登別温泉の源泉であり、毎分約3,000ℓ、1日1万トンもの湯が45〜90℃の高温で湧き出し、旅館やホテルに給湯されている。

遊歩道を進んでいくと硫黄の香りが強くなり、あちこちから湯けむりが立ち上るのを見るようになる。

遊歩道の行き止まり、地獄谷のほぼ中央に鉄泉池がある。ぶくぶくと熱湯を噴出する間欠泉で、湯けむりを上げて煮えたぎる様子を近くで見ることができる。泉温は約80℃あるという。

毎年5月から11月までの期間は、夜間に入り口から鉄泉池までの遊歩道がライトアップされ「鬼火の路 幻想と神秘の谷」として公開されているほか、「登別地獄まつり」などのイベントも開かれる。  

2001年には「登別地獄谷の湯けむり」が環境省の「かおり風景100選」に選定され、2004年には「登別温泉地獄谷」として「北海道遺産」に選定された。また、2010年には「地獄谷」が「日本紅葉の名所100選」に選定されている。

鉄泉地の先は、ぶくぶくとお湯が煮えたぎっている場所や湯気が立ち上る噴気孔があって、臭気も強くなり、硫黄の塊のような岩山の向こうは立ち入り禁止となっている。

地獄谷遊歩道から大湯沼遊歩道に続いているので、大湯沼や大正地獄などへと足を延ばすこともできる。地獄谷周辺は「登別原始林」として国の天然記念物に指定されており、面積186haの原始林内には約60種類の樹木や約110種類の草木が保存されている。

左手奥から流れてくる小川は、水は透明だったけれども川床は明るいクリーム色に染まっていた。硫黄分が濃くて沈殿したのだろう。