半坪ビオトープの日記

日吉大社西本宮、宇佐宮


比叡山の麓、大津市坂本に日吉大社がある。全国に約2000社ある日吉・日枝・山王神社の総本社であり、通称として山王権現とも呼ばれる。西本宮と東本宮を中心に40万㎡の境内は、国の史跡に指定されている。
西本宮の駐車場から境内の参観を始めると、右手に白山姫神社本殿がどっしりと構えている。白山宮本殿とも呼ぶ。以前は客人宮(まろうどぐう)ともいわれていた。三間社流造桧皮葺の建物で、三間・二間が身舎(もや)、その前方一間通しの廂(ひさし)が前室となっている。向拝は一間で浜床付き、前室の正面は蔀戸となっている。浜床の両脇に安置されている大きな狛犬が目を引く。どちらも木製で、左は狛犬で、右は獅子であるというが、見分けはつかない。

祭神は菊理姫神で、天安2年(858)に鎮座された。菊理(くくり)姫神は、全国の白山神社で祀られる白山比竎神と同一神とされる神で、『日本書紀』の一書に一度だけ出てくる仲裁の神とされる。現存本殿は、慶長3年(1598)の造営で、国の重文に指定されている。左端の垣に囲まれた岩は雪丈岩という。平安時代末期、白山の神を広長という人が私的にお祀りしていたところ、天台座主慶命が見つけ、取り壊すかどうか話し合おうとした夜に、夏にもかかわらずこの岩の高さほどの雪が積もり、その霊験によって白山宮創建につながったという。

白山宮本殿の右手には、四つの小さな末社が並んでいる。左から、瓊々杵命を祀る剣宮社、大己貴神を祀る小白山社、素戔嗚尊を祀る八坂社、菅原道真を祀る北野社である。日吉神社には、境内108社、境外108社といわれるほど多くの本宮・摂社・末社があるが、主な21社は山王二十一社と総称される。5摂社の一つとされる白山宮は上七社に、末社の剣宮社は下七社に含まれる。

白山宮本殿に向かい合って、大きな拝殿が建っている。吹きさらしの舞殿形式で、本殿と同じく重文に指定されている。

白山宮の境内から一段高いところに宇佐宮が建っている。その手前右手に気比社が建ち、左手にこの宇佐竈殿社と宇佐若宮が建っている。左の宇佐竈殿社は、日吉大社にある三つの竈殿社の一つで、宇佐宮の料理を司る神として奥津彦神・奥津姫神を祀っている。大山咋神の兄神・姉神とされ、三つの竈殿社共通の祭神である。

宇佐宮本殿前に建つ宇佐宮拝殿も、他の拝殿と同様に舞殿形式でしっかりとした構えである。

宇佐宮本殿は、桁行5間、梁間3間、日吉造桧皮葺で、国の重文に指定されている。三間・二間が身舎の前面、両側面に一間の廂を巡らせている。慶長3年(1598)の造営である。祭神は宗像三女神の一番上の姉の田心姫(たごりひめ)であり、天武天皇3年(675)に宇佐八幡宮から勧請された。本殿手前左右には玉垣に囲まれた「橘」が植えられている。宇佐八幡宮の社紋が「橘」であることによるという。

宇佐宮本殿の左には、大宮竈殿社が建つ。大宮竈殿社は、西本宮の料理を司る神として奥津彦神・奥津姫神を祀っている。大宮竈殿社の後方右側に包丁塚がある。