半坪ビオトープの日記

西明寺、三重塔


本堂の右手(南)に三重塔が建っている。鎌倉時代後期、飛騨の匠が建立した桧皮葺和様の、釘を使わない総檜の建物で、国宝に指定されている。総高は23.7m、逓減率が小さいことと、二重目・三重目の塔身の立ちが低いことが特徴とされる。一般に銅製が多い相輪は鉄製である。

初層内部には木造大日如来像を安置し、心柱は初層天井裏から立つ。初層内部は須弥壇と床面を除く全面に極彩色の絵画が描かれているが、かなり剥落している。絵画の主題は、内部の4本の柱(四天柱)には両界曼荼羅のうち金剛界曼荼羅成身会(じょうじんね)の三十二菩薩を表し、四方の扉脇の壁面には計8面に法華経曼荼羅図を表している。このほか扉には八方天、須弥壇周りの長押には宝相華、牡丹、鳳凰などが描かれている。これら三重塔初層荘厳画は、大和絵の一派・巨勢派の絵師によって描かれた、現存する鎌倉時代の仏教絵画としては国内唯一とされ、国の重文に指定されている。

塔内は通常公開されていないので、初層内部のパンフの切り抜きを載せる。

本堂のすぐ右脇には小さな池があり、その手前で緑色が鮮やかなトノサマガエル(Pelophylax nigromaculatus)を見つけた。日本のカエルの中では代表株であるが、本州では関東地方から仙台平野を除く地域及び四国、九州の、主に水田近くに生息する。貪欲な肉食性で知られる。動作も非常に敏捷で、跳躍力も大きく道具なしでの捕獲は困難である。環境省レッドリストでは、「準絶滅危惧種」に指定されている。

子供の頃には東京近郊でもたくさん見かけていたと思っていたが、その後、関東地方でトノサマガエルと思われていたカエルは、別種のトウキョウダルマガエル(P. porosus porosus)とされた。ほとんど見分けがつかないが、腹部を見るとトノサマガエルはほとんど白であるが、ナゴヤダルマガエルでは網目状の斑紋が入り、トウキョウダルマガエルでは不明瞭だが斑紋が入るという。また、背面の背中線脇の黒い小隆条が、トノサマガエルでは明瞭に発達している。雄は背面が茶褐色から黄緑色をしていて、繁殖期には黄金色になる。背中の中央には1本の緑色や黄色の縦縞を持つ。

雌は背面が灰暗色で、背中線は太くて白いので、このカエルも雄と思われる。雄雌とも背面に黒い斑紋があり、斑紋同士が繋がっていることが多い。

カエルがいた小さな池と三重塔との間に小さな社が建っていたが、詳細はわからない。

本堂から見て正面の二天門の左手(南側)に鐘楼が建っている。梵鐘は昭和43年の鋳造である。

本堂正面には、総門からまっすぐに上がってきた石段の参道の突き当たりに建つ二天門がある。

四天王のうち、持国天増長天の二天が守る二天門は、桁行3間、梁間2間、入母屋造杮葺の八脚門で、応永14年(1407)の墨書から同年の建立とされ、国の重文に指定されている。二天の仏像は寄木造で二体とも像高は1.95mである。正長2年(1429)院尋という仏師により造られたもので、作者と制作年代がわかる木像として貴重なものとされる。

二天門のすぐ右手に夫婦杉が聳え立っている。元々二本の杉が合体したもので、樹齢約1000年と推定され、千年杉とも呼ばれる。

二天門から参道を下ってくると、参道脇に十一面観音像があり、更に下ると伝教大師像があり、駐車場もすぐである。