半坪ビオトープの日記

秋吉台、地獄台


3月も下旬になると秋吉台でもスミレの花がたくさん咲き出している。スミレの花は似たものが多く特定するのが難しいが、葉に艶があり、葉の裏が紫色を帯びているのでシハイスミレ(Viola violacea)と思われる。本州中部地方以西及び四国、九州に分布する。

こちらのスミレは、ニオイタチツボスミレ(Viola obutusa)であろう。匂いはかがなかったが、花弁が重なりように咲き、花弁の基部が白く、距が尻上がりとなる。日本全国の山野に生える。

こちらの黄色い花は、バラ科のキジムシロ(Potentilla fragarioides var. major)である。よく似たミツバツチグリが小葉3枚なのに対し、こちらの小葉は5〜9枚ある。どちらも全国の山野に普通に生え、秋吉台には両方自生している。

こちらの白い花は、キク科のセンボンヤリ(Leibnilzia anandria)である。秋に何本もの花茎を30-60cmに伸ばし、花をつけることなく褐色の冠毛のある実を結ぶ。千本槍の名はこの姿に由来する。日本全国の山野に自生する。

冠山の山頂を過ぎて地獄台に向かうと、大きな石灰岩柱がゴロゴロしていて迫力がある。カルスト地形とは、ヨーロッパの地中海に面したユーゴスラビアの北西部に石灰岩の山があるカルスト地方にちなんでいる。石灰岩は主に炭酸カルシウムという成分からなり、石灰岩台地に降る雨は空気中の二酸化炭素を含んで弱酸性の水となり、土中を通る時石灰岩を少しずつ溶かしていく。そして長い間に凹地(ドリーネ、ウパーレ、ポリエ)や鍾乳洞を形成する。こうして石灰岩が溶けてできた凹凸のある地形や地下の洞窟をまとめてカルスト地形と呼んでいる。

地獄台に向かって下りきったところに、「天然記念物秋吉台山ノ地獄台」という石柱が建っている。昭和4年に建てられたというが、地獄台を仰ぎ見るところにすぎず、地獄台へはもう一踏ん張り必要である。

この地獄台も大きな丸い山なので、なかなか頂上が見えてこない。

右裾の彼方には、相変わらず広大なカルスト地形が展開している。秋吉台厚東川により東台と西台に分けられ、この辺り一帯の東台が狭義の秋吉台で、特別天然記念物に指定されている。石灰岩の厚さは西台の西端で50-200m、東台の東北端で1000m以上になる。

ようやく先ほどの石柱が眼下に小さく認められるほど登ってきたので、もうすぐ頂上であろう。

結局この丸い地獄台(409m)の山頂にも標識がなく、広場から先を見渡すばかりである。駐車場から冠山を越えて地獄台まで急いで45分かかったが、十分カルスト台地を堪能した。帰りは冠山の左手を抜けて下ろう。

下り始めてようやく遠い彼方に長者ヶ森を見つけ、その左奥に長者ヶ峰、さらに左に北山を認めることができた。