半坪ビオトープの日記

松原公園


土肥金山から近い海岸沿いの松原公園に入る。松林の中に地元彫刻家による野外彫塑群や幾つかの歌碑があり、遊歩道が巡っている。

松原公園には大きな花時計が設けられている。直径31m、長針の長さ12.5m、短針の長さ8.8mというギネスブックにも認定されている世界一の花時計である。花時計なので周囲には約5千本の花が彩られ、正午には電子チャイムで美しいメロディが奏でられる。外周にはパネル化した天然石が敷き詰められ、裸足で歩ける健康歩道「花のこみち」となっている。
それでもこんな大きな花時計が、人影まばらな松林の陰にひっそりと時を刻んでいるのは、なんとなく場違いな感じがする。

公園前のバス停脇には、温泉墳湯モニュメントや足湯「黄金の湯」が設けられている。

公園の脇にも土肥桜が咲いていた。正式にはイズトイザクラ(Cerasus ‘Izutoi-zakura)という。濃紅紫色のふくよかな花を1月中旬〜2月上旬に咲かせる。旧土肥町八木沢の山中に以前から咲いていたもので、数年前にようやく種苗法によって登録された。河津桜よりも開花が早いので、これから広まれば人気を博すであろう。

公園の北側を流れる土肥山川に架かる松原大橋の上からは、松原公園の松林が整然と並んでいるのが眺められる。

松原大橋のたもとには、若山牧水の胸像と歌碑がある。胸像は奥村良宏の作品。牧水は大正14年5月、初めて初夏に土肥を訪れ、家族と宿泊した時の歌という。牧水は幾度となく土肥に長期滞在したが、明治3年(1928)沼津の自宅で死去した。
花のころに来慣れてよしと思へりし 土肥に来て見つその梅の実を 牧水

松林の中の遊歩道脇には、島木赤彦の歌碑がある。赤彦は大正14年の冬に1週間土肥に滞在したそうだ。
土肥の海漕出てゝ見れは白雲を 天に懸けたり不二の高根は  島木赤彦

同じく若山牧水の歌碑もある。大正7年の冬に長期滞在した時の歌。
ひそまりてひさしく見ればとほ山の ひなたの冬木かぜさわぐらし 牧水

松林と芝地を後ろに控えた土肥海水浴場は、遠浅で波は穏やか、長さ700mと西伊豆で最大の規模を誇る。

夏には無料で利用できる「温泉池」、船に温泉を注いだ「温泉丸」など様々な施設が設けられ、子供連れにも人気がある。
冬に土肥で長期滞在する歌人たちではないが、2月中旬の一泊の旅はのんびりできた。