半坪ビオトープの日記

真鶴岬


真鶴半島は、箱根火山が噴出した安山岩室の溶岩流によって形成され、長さ約3km、幅は200〜800mで、標高が約90mある。神奈川県唯一の海に面した県立自然公園であり、その先端に風光明媚な真鶴岬がある。樹齢350年を越すクロマツやクス、スダジイタブノキなどの常緑照葉樹が生い茂る「お林」と呼ばれ親しまれてきた森の中の散策や、三ツ石を眺めながら海岸線を巡るウォーキングが楽しめる。その拠点となる「真鶴町営ケープ真鶴」は食堂・売店・休憩所を兼ね、2階には遠藤貝類博物館がある。

雨が降り出してきたので三ツ石を見るため、ケープ真鶴の左手から足早に遊歩道を進むと、眼下に三ツ石が眺められた。喫茶・軽食もできる見晴台という店からは、晴れていれば初島や大島、伊豆半島や房総半島まで見渡すことができるという。

さらに遊歩道を下ると木々の間から三ツ石が見下ろせる。干潮時には三ツ石まで岩礁伝いに歩いて渡れるそうだ。

三つの巨石があり三ツ石というが、残念ながらここからでは二つしか岩が見えない。別名、笠島とも呼ばれる。

ここから海岸に沿って右手(西)に遊歩道を進んでいくと番場浦海岸に着く。そこから見る三ツ石の初日の出は、しめ縄のかかる三ツ石の間からご来光を拝むことができるため、有名スポットとして知られ、毎年、関東一円から人が多く集まるという。今日は雨模様なので諦める。 

ケープ真鶴に戻る途中、与謝野晶子の歌碑がある。昭和7年に鉄幹とともに真鶴半島を巡ったとき詠んだ歌である。
わが立てる真鶴崎が二つにす 相模の海と伊豆の白波  与謝野晶子   

ケープ真鶴2階の遠藤貝類博物館も町立で、地元の貝類研究家・故遠藤晴雄氏のコレクション4500種50000点の寄贈を受け開館した。

馴染みのある貝から初めてみる珍しい貝など展示にもいろいろ工夫がなされて目を瞠ることが多い。

当博物館の目玉といえるのは、「オキナエビスガイ」のコレクションであろう。数億年前の形態を残していることから「生きた化石」と呼ばれるとても美しい巻貝である。

巻貝には様々な形の貝があるが、ホネガイの枝先は簡単に折れるのではないかと気にかかるほど細い。

海綿(海綿動物)や苔虫(外肛動物)は海に住む原始的な動物類だが、カイロウドウケツ(偕老同穴)は、海綿の仲間である。相模湾駿河湾で見られる円筒状の海綿で、骨格は髪の毛ほどの細い繊維状ガラスが織り合わされて網目状となり、その外見上の美しさから観賞用として利用される。中に住むドウケツエビは雌雄一対で、漢字の偕老同穴は「生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる」という夫婦の契りの堅いことを意味して、のちに海綿自体の名となった。ヴィクトリア朝時代のイギリスでは非常に人気があり、当時は5ギニー(現在の貨幣価値で3000ポンド以上)ほどの値段で売買されたといわれる。