半坪ビオトープの日記

高滝神社


コの字型の高滝湖の真ん中に突き出たような高台に高滝神社がある。道路脇の駐車場から上る石段は裏手の参道と思われる。

表参道は高滝湖に面していて、いつくもの鳥居をくぐって上ってくる。鳥居の先にあったと思われる集落は、人工的なダム湖の下に沈んで今はなく、静かな湖面が広がっている。

高滝神社は、「日本三代実録」の「貞観10年(868)」の条に記載がある古社である。創建当時は養老川上流の粟又の滝近くにあった社を中世に移したものとみられ、現在の社殿は享保12年(1727)に再建された権現造である。

拝殿は正面中央に千鳥破風をつけ、向拝中央は軒唐破風としている。3間の向拝虹梁は大きく、兎の毛通しの鳳凰や虹梁上の波に龍の彫刻も精巧に施されている。

創建は不詳だが、天武天皇元年(672)に高滝の神号を賜ったと伝えられている。宝暦7年(1757)には徳川家重の祈願所として神領10石の寄進も受けている。

平安時代末の承安年間の頃、上賀茂神社下鴨神社から分霊を勧請したといわれ、そのことから通称、加茂大神宮あるいは加茂明神とも呼ばれていたが、明治13年に県社に昇格し、社名を高滝に復した。主祭神として邇邇芸命(ににぎのみこと)を祀り、玉依姫命と別雷命も祀っている。

本殿は正面3間、側面2間の三間社流造で、銅板葺の入母屋造の屋根の棟に千木・勝男木を置き、庇部分に階段・高欄を設ける。

社殿の左には神楽殿があり、その先奥に末社の社殿が建っている。末社社殿は銅板葺屋根の合祀社殿で、文化9年(1812)の建立といわれる。

末社社殿は、右から松尾神社・神明宮と続いている。

さらに八坂神社・稲荷神社・疱瘡神社・竃大神・猿田彦神社道祖神白鳥神社琴平神社と続いて10社が合祀されている。

高滝神社の背後の山は、標高80mの松尾山という丘陵で、約16,000㎡の社域は「高滝神社の森」と呼ばれ、県の天然記念物に指定されている。北面には樹高20mを超える巨木のほか栗、クヌギなど落葉広葉樹が繁茂し、アラカシ、ヒイラギなど常緑広葉樹も混生している。南面にはシダが多く、タブノキ、アラカシなども混生するなど、暖帯林の特徴を持つ自然林が尾根伝いに形成されている。