半坪ビオトープの日記

岩木スカイライン、リフト


翌朝、岩木山神社に朝日が差し込む様子は厳粛だが、後ろに控える岩木山が雲に覆われているのが気がかりである。

岩木山神社から岩木山麓を西に廻って、嶽温泉の先から岩木スカイラインを八合目まで上る。日光のいろは坂には、第一と第二の二つの坂を合わせて48のカーブがあるが、岩木山では延々と69のヘアピンカーブが連続して天空へと続く。途中3合目付近ではブナの天然林がある。道路脇には、リョウブ(Clethra barbinervis)の花が満開に咲いている。北海道南部から九州の山林に多く自生し、高さは3〜7mになる。7〜9月に枝先に総状花序を円錐状に出し、白い花を密につける。花冠は5mmほどで、深く5裂する。若葉は山菜とされ、昔は飢饉のときの救荒植物として利用され、現在は「令法飯」などの材料となる。樹皮は薄くはがれ、床柱にも利用される。

山の上はまだ分からないが、山麓では陽が射していて明るい。この白い花は、オカトラノオ(Lysimachia clethroides)である。北海道〜九州の山野の日当りのよい草原に群生し、高さは50~100cmになる。葉は茎に互生し、長楕円形で全縁。花期は6〜7月で、茎先の総状花序に小花を密につけ、下方から開花していく。花穂の先が虎の尾のように垂れ下がる。

こちらの大型の複総状花序に白い小花を多数咲かせているのは、タラノキ(Aralia elata)である。日本全土の日当りのよい山林に生え、高さは2〜5mになる。いわゆるパイオニア的樹木としてよく知られ、伐採跡地などに素早く出現する。葉は奇数2回羽状複葉で、全体に大きい。新芽はタラの芽と呼ばれ、天ぷらなど山菜として利用されるが、側芽まで採るとその枝は枯れてしまうので、頂芽のみ採るのがマナーである。ただし、1m以下の幼木では、頂芽を採るだけで全体が枯れてしまう。

飽きるほど単調なヘアピンカーブを上り詰めると、ようやく8合目の終点駐車場に着く。右手の乗場から正面の鳥海山の左肩まで、リフトに乗れば岩木山の9合目まで上がれる。

駐車場には休憩所があり、その裏から下界を見下ろすと、はるか彼方には日本海が見え、左手彼方には白神山地らしき山容が認められた。少し雲が浮かんでいるが、かなり晴れ渡っている。

一方、リフトに乗ると、すっかり曇っていて先行きの天候が気がかりとなる。

リフト脇には、アジサイ属のノリウツギHydrangea paniculata)が咲き誇っている。八甲田でも見かけたように、林縁や草原、湿原にも生息し、日照さえあれば痩悪地にも出現する。和名の糊空木は、樹液を和紙を漉く際の糊に利用したことに由来する。

10分ほどでリフト頂上に着くが、うっすらと霞がかかっていて岩木山の頂上が見えない。