半坪ビオトープの日記

たてつ家、比内地鶏


角館の伝統工芸品である樺細工は、ヤマザクラ類の樹皮を用いて作られ、主な製品として茶筒等の茶道具、文箱、茶箪笥、ブローチ、タイピンなどがある。桜皮細工とも呼ぶ。青柳家のすぐ南には樺細工伝承館があり、製作実演も見学できる。
さらに武家屋敷通りを南下し、商人町(外町)に入ると、たてつ家(田口家、屋号が田鉄)という桜皮細工を販売する店がある。現在の建物は明治33年に建てられたもので、商家の風情を残している。蔵の中には、田口家の先祖が実際に使用していた、華麗な打掛衣装、生活用品や趣向品などを「外町資料館」として公開展示している。

この焼き物は、角館発祥といわれる白岩焼である。明和8年(1771)に相馬浪人の松本運七が窯を開き、藩主への献上品や日用雑器を焼き、次々と窯が開かれ最盛期を迎えたが、明治中期以降、大地震や瀬戸物の流行などの影響で廃れた。80年後の昭和49年に復興した。

この盆は、藍胎漆器という。竹を編み、漆を何度も塗り重ね研いで模様を浮き立たせた特有の伝統工芸品である。明治時代に久留米藩の工人によって生み出されたという。北前船で運ばれてきたものと思われる。

こちらは桜皮細工の製品である。製作者の名前があるので、一級品であろう。角館の桜皮細工は、天明年間(1781~89)県北阿仁地方に伝承されていたものを、佐竹北家の手判役・藤村彦六定継が技術を習得し製作したのが始まりという。

昼食は秋田名物の比内地鶏にする。武家屋敷と町人町の境に面した、蔵座敷もある食事処「しちべえ」は、地元の食材をふんだんに使用した郷土料理や豆腐料理で人気がある。

比内地鶏のきじ焼き丼は、醤油ベースで焼き上げた地鶏肉が香ばしくて美味しい。
比内鶏は、藩政時代の比内地方(県北)で飼われていた地鶏で、美味しいことから年貢として納められていた。昭和48年、比内鶏を雄方に、ロードアイランドを雌方にして改良に着手し、比内地鶏として蘇った。一般の鶏肉より歯ごたえがあり、肉そのものにコクがある。

この店の比内地鶏の親子丼は、最後の卵でとじるところを食べる直前に自分好みにできるという。

自分好みといってもセルフサービスのようなもので、お任せでもいいと思われた。庭や座席など店の雰囲気もいいが、やはり本場の比内地鶏の味はとても満足できる。