半坪ビオトープの日記

大正池


田代池と打って変わって、石がごろごろとした広い河原の先に、ようやく大正池が見えてきた。梓川の川幅が広くなって、そのまま大正池となっていく。

名物の立ち枯れの木もちらほら散見される。昭和初期には2000数百本あったとされ、数十年前に見た時もかなり残っていたはずだが、すっかり減ってしまった。正面に見える焼岳は、長野県と岐阜県にまたがる標高
2455mの活火山で、硫黄の噴出を伴う噴気孔が現在も活動中である。雲に隠れて山頂が見えないのが残念である。

遊歩道は左に大きく旋回している。木立の間から覗き見る大正池も趣がある。

林を抜けて池の端にでると、上流彼方に岳沢の雪渓が認められた。

雄大穂高連峰がすっかり見えたら、水面に映る姿もあわせてさぞかし絶景だろうと曇り空を恨めしく思う。

大正池は、大正4年6月6日に焼岳が大噴火をおこし、噴出した多量の泥流が梓川をせき止めて突然できた池である。現在の大正池は、標高1490m、深さ3.9m、周囲2.4km余りで、年々土砂の流入により小さくなり、できた当初の半分以下の面積になっている。下流の霞沢水力発電所の調整池としても利用され、冬に東電が土砂を浚渫しているが、浚渫を取りやめれば数年で池が埋まってしまうといわれる。

時間があれば貸しボートに乗って、のんびりと水上遊覧を楽しむとよいだろう。

大正池のほとりに唯一ある大正池ホテルに泊まれば、穂高連峰と焼岳の絶景を満喫できる。

ホテルの近くで、小さな赤紫色の花を見つけた。フウロソウ属のゲンノショウコ(Geranium thunbergii)である。北海道〜九州の山野に生える多年草で、高さは30~40cmになる。葉は掌状に深裂し、5枚の花弁をもつ紅紫色または白色の花を咲かせる。「現の証拠」の和名は、胃腸に効く民間薬として利用されることに由来する。優秀な整腸生薬であることから、イシャイラズ、タチマチグサなどの異名もある。