半坪ビオトープの日記

八間山下山道


八間山山頂には壊れかけた避難小屋があり、その脇を北に向かって下り始めるとまもなく、右手に白砂山(2139m)への登山道が分かれていく。野反湖を囲む三壁山(1974m)などの山々の向こうには、岩菅山(2295m)や裏岩菅山(2341m)などの志賀高原の高峰が残雪を抱えて控えている。

野反湖は、群馬・長野・新潟3県の県境に位置し、周囲2000m級の山に囲まれている。北端には高さ44mの野反ダムがあり、湖水は信濃川系に属し、北に流れて日本海に注いでいる。

3枚の葉が輪生するエンレイソウの手前に咲いているのは、ユキザサ(Smilacina japonica)である。北海道〜九州までの山地の林の中に生える多年草で、高さは20〜40cmになる。茎の先の円錐花序に白い小さな両性花を咲かせる。和名は、白い花を雪に、葉を笹にたとえたものである。

苔の生える樹林下で小さな白い花を咲かせているのは、ユキノシタ科のズダヤクシュ(Tiarella polyphylla)である。北海道〜九州の深山に生える多年草で、高さは20〜40cmになる。花茎の先に総状花序を出し、白色の小さな花を下向きに多数咲かせる。花のように見えるのは萼片である。ズダは喘息の信州方言で、喘息に効く薬草という意味で名付けられた。

先ほどのユキザサより一回り大きいこの花は、オオバユキザサ(Smilacina hondoensis)である。奈良県以北の本州の深山に生え、別名はヤマトユキザサという。茎には8〜10枚の葉が互生し、高さは40〜70cmになる。

4枚の葉が輪生しているのはツクバネソウ(Paris tetraphylla)である。北海道〜九州の深山の林内に生える多年草で、高さは15〜40cmになる。茎の先に花柄を出し、淡黄緑色の花を1個つける。秋には黒紫色の液果が熟し、赤い萼が反り返って羽根つきの羽子に似る。そのためか、あるいは4枚の葉の中心に黒紫色の実が着く様子を羽根つきの羽根に例えたものとして、和名の衝羽根草が名付けられたという。

深い樹林で薄暗い下り道には、日当りのよかった上りよりもマイヅルソウが多く生えている。卵心形の葉の葉脈の曲がった様子が、ツルが羽根を広げたように見えるところから舞鶴草の名がある。

小さいがキリッと引き締まった姿の白い花は、サクラソウ科のツマトリソウ(Trientalis europaea)である。北海道、本州中部地方以北及び四国の高山の草地や針葉樹林帯に生える小型の多年草で、高さは5〜25cmになる。葉の脇から花柄を出し、その先に一個の花を咲かせる。和名は、花びらの先が赤く縁どられるが、その色の入り方が鎧の威色目の一つである褄取りに似ることによる。

目立たない淡紅色の花をつけているのは、ショウジョウバカマである。上りに見かけたものは既に花後だったが、こちらはまだ咲いている。色が薄すぎてとても猩猩の色ではないが。

こちらでは、ムラサキヤシオが咲き残っていた。葉が出そろわないうちに2〜6個の花をつける。雄しべは10本あり、上部の5本は短く、下部の5本は長い。