半坪ビオトープの日記

仏殿、大庫院


大庫院に向かって下る回廊から右手を見ると、大きな仏殿が目に入る。明治35年に改築された建物で、間口9間、奥行5間半の二重屋根である。

回廊を下りてくると左側には、昭和5年に改築された大庫院(だいくいん)があり、2階には瑞雲閣という賓客の接待所がある。3階には150畳の大広間「菩提座」がある。

右手の仏殿に入ると、須弥壇中央には釈迦牟尼仏、右に未来弥勒仏、左に過去阿弥陀仏の三世如来を祀っている。この形式は、中国天童山の三世如来に準じたものといわれ、そのため仏殿の別名として、三世如来殿とも覚王宝殿とも呼ばれる。
須弥壇中央の眉間には、永平寺64世悟由禅師の「祈祷」の額が掲げられている。欄間には12枚の彫刻がはめられていて、禅門の古則公案が図案化されている。正面入口には「善財一茎草」、須弥壇上には「世尊」、右側の5面は「二祖断臂」・「智門蓮華」・「洞山木橋」・「香嚴撃竹」・「大随一亀」、左側の5面は「六祖蹈碓」・「南泉牡丹」・「大中天子」・「栽松道者」・「百丈野鴨子」の五則がある。

仏殿の前から右手を眺めると、大きな僧堂が見える。

正面には中雀門があり、その向こうには山門が見える。

左手には地下1階地上4階、延べ750余坪の大庫院が見える。庫院の入口には、永平寺50世玄透禅師揮毫の「庫院」という額が掲げられている。

玄関正面を入ると、永平寺67世元峰禅師の筆になる「法喜禅悦」という額が掲げられている。中には、足の速いことで有名な守護神「韋駄尊天」が祀られ、この裏の典座寮と呼ばれる台所で一山大衆の弁食を作っている。

庫院入口の向かいには、長さ4mの大きなすりこぎ棒が吊るされている。明治35年の仏殿改築の際に使用された地突き棒を丸めてすりこぎにしたものであり、このすりこぎを3回なでると料理の腕が上達するという。「身をけずり人に尽くさんすりこぎの その味知れる人ぞ尊し」と歌に詠まれ、永平寺で修行をした人は誰でも知っているといわれる。

庫院の右裏手に松平公廟所に上がる石段がある。松平公廟所は永平寺の建物の中で最も古く、元の勅使門であったといわれている。葵の紋の門の奥に、越前藩3代目・松平忠昌五輪塔がある。