半坪ビオトープの日記

輪島朝市


朝市で有名な輪島市街地の入口近くに、輪島漆芸美術館が建っている。世界で唯一の漆芸専門美術館で、古今の陶芸家の珠玉の名品や世界の漆器文化を紹介している。

玄関前にウルシの木が植えられている。ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)は、ウルシ科ウルシ属の落葉高木で、高さは3〜10m以上になり、雌雄異株である。アジア原産で、中国・朝鮮・日本では漆を採取するため古くから広く栽培されていた。樹皮を傷つけて生漆を採る。若い新芽は食べられるというが、しびれることもあるので食べない方がよい。アレルギー性接触性皮膚炎(ウルシかぶれ)を起こしやすいことで有名であり、近くを通っただけでかぶれる人もいるので、秋の紅葉はきれいだが触れないよう注意したい。

漆は少なくとも約9000年前の縄文時代早期から、装身具・呪具・食器・調度品などに利用されてきた。能登半島縄文時代以来、今日の輪島塗まで連綿と漆文化の系譜がたどれる希有な場所であり、なかでも輪島市は木製漆器の生産量で日本一を誇る。輪島塗は中世後期には生まれていたと考えられ、江戸時代前期には京・大坂に進出し、18世紀後半以降、分業化を進めて上質の朱塗り膳椀を量産し、沈金、蒔絵の装飾も発達した。

輪島朝市は、岐阜県高山市、千葉県勝浦市と並び、日本三大朝市に数えられる朝市で、平安時代に神社の祭礼日に魚介類、野菜等を物々交換していたのが起源とされる。

約350m続く商店街、通称「朝市通り」には今では毎日午前中、鮮魚や干物、野菜、民芸品など約250軒の露天が並ぶ。既に昼時になってしまったので、テントはほとんど片付けられてしまった。

朝市通りには、輪島出身の漫画家、永井豪の記念館がある。「ハレンチ学園」「デビルマン」「キューティーハニー」などの名作の原画やフィギュア、高さ2mのマジンガーZなどが展示されている。

ノドグロの干物はやはり高かったので、試食して気に入った珍味、甘エビの生塩辛を土産に買い求めた。

昼食は、能登牛のステーキで有名なグリル「わら庄」に滑り込んだ。帰りがけには大勢並んでいた人気店である。

おすすめの「わら庄風ステーキ丼」を頼むと、石焼の器に熱々ででてくる。石焼ビビンバ風に混ぜて、お椀に取り分けて食べる。肉とご飯のおこげが混ざり合い、とても美味しい。

輪島市街地を出て、奥能登の曽々木海岸に向かう。途中、「佐渡里山」とともに世界農業遺産に日本で初めて認定された「能登里山里海」の象徴でもある「白米(しろよね)の千枚田」がある。海になだれ込むように続く階段状の棚田は、国指定部分でも1004枚ある。ぜひとも見たかったが、道路脇にあるためかなり手前から渋滞がひどく、とても駐車場に入れる状態ではなかった。