半坪ビオトープの日記

鱒飛の滝、吹割の滝


尾瀬付近を源にして流れる片品川の渓谷美は、利根川の支流群中第一といわれ、鱒飛の滝、吹割の滝、般若岩、獅子岩など、数十mの断崖がそそり立つ雄大な景観が、訪れる人を楽しませてくれる。
渓谷を廻る遊歩道も整備されていて、吹割の滝の下流にある鱒飛の滝から遡るように歩き出す。

鱒飛の滝は、高さ8m、幅6mの滝で、遡上してきた鱒がここを超えることができずに止まってしまうことから、かつては「鱒止の滝」と呼ばれていた。

4月中旬では尾瀬方面からの雪解け水がことのほか豊富で、岩の割れ目に向かって落ちていく様子は人の目を引きつける。水際まで迫ることもできるが、足を滑らせないように気をつけなければならない。

獅子岩と呼ばれるそそりたつ岩壁群の奇景には、河川の浸食力の大きさを見せつけられる。

獅子岩を通り過ぎて振り返ると、今度は口を縦に大きく開けて睨んでいるような、般若岩という奇景が左の方に見られる。

吹割の滝は、高さ7m、幅30mで、奇岩が1.5kmにわたって続く吹割渓谷(片品渓谷)にかかる。河床を割くように流れ、そこから水しぶきが吹き上げる様子から吹割(ふきわれ)の滝の名がつけられた。

吹割の滝は、900万年前に起こった火山の噴火による大規模な火砕流が冷固した溶結凝灰岩が片品川の流れによって浸食されてできたV字谷にかかり、そこに向かって三方から流れ落ちる姿から「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる。

水の浸食により1年間で約7cm上流に向かって遡行しており、瀑布は徐々に上流に移動している。
吹割の滝には、「竜宮の椀」の伝説がある。昔から吹割の滝の滝壺は竜宮に通じているといわれ、村で祝儀がある度に滝壺にお願いの手紙を投げ入れて竜宮からお椀やお膳を借りていた。ところがあるとき一組だけ返し忘れてしまい、それ以来二度と膳椀を貸してもらえなくなったという。広く全国に伝わる「椀貸し伝説」の一つであると考えられている。

水しぶきを上げて轟々と落下する様は、吸い込まれるように壮観である。滝壺近くに小さく人の姿が認められ、吹割の滝の大きさがよくわかる。