半坪ビオトープの日記

吉祥寺、山門


4月中旬に群馬県赤城山周辺の史跡巡りに出かけた。赤城山(1,828m)の北側、武尊山(2,158m)の南側に位置する川場村に、臨済宗建長寺派名刹禅寺・吉祥寺がある。

境内いたるところに、春から秋にかけて百数種類の花が咲き、淀みなく流れる清水は滝をつたい多くの水生植物を育んでいる。背の高い滝は、丈六の滝という。

拝観所から境内に入ると、左右に円月池がある。右の円月池(円)には、小さな水芭蕉(Lysichitum camtschatcense)がたくさん咲いている。

吉祥寺は、建長寺派四百有ヶ寺の中でも一番北域に位置することから、建長寺北の門と呼ばれる。参道を進むと正面に大きな山門が建っている。右手にはちょうど満開のソメイヨシノが立ち、手前には六地蔵がある。左に立つ巨木は姫小松である。

参道脇にも水芭蕉が咲いている。葉は柔らかく、花後にのびて長さ約80cmにもなる。花序は10~30cmで、純白の仏炎苞に包まれる。仏炎苞の中の円柱上の肉穂花序に小さな花が多数密につく。

吉祥寺の山門は、文化12年(1815)に関寧大器和尚によって再建された。間口8.5m奥行5.5mの入母屋造で、12本の丸柱仕上げで建てられている。山号額「青龍山」の文字は、北朝第4代の後光厳天皇の染筆である。

山門右手には楼上へ上がる階段があり、楼上には文殊菩薩を中尊に釈迦如来の十六高弟の十六羅漢像が祀られている。この羅漢像は、等身よりやや小さめの木像だが彫技は秀抜で、江戸中期に作られている。

山門の左手に立つ大きな姫小松は、350年前の火災のあと寺が再建された延宝2年(1674)に植えられたとされ、樹齢は300~350年といわれる。樹高約25m、根元周囲約8m、枝張り四方約19m、県内稀にみる巨木で、県の天然記念物に指定されている。

姫小松の左に祀られている仏像は、延命地蔵尊である。山門が再建された後の文政13年(1830)に地元の豪族から寄進された4尺8寸の唐銅造坐像で、関東百八地蔵尊第三十一番札所に数えられている。

山門の回りにも色々な花が咲いている。このシャクナゲの花は、アズマシャクナゲ(Rhododendron degronnianum)と思われる。

山門をくぐって参道を進むと、右手に平成9年に再建された鐘楼堂が建っている。梵鐘の直径は4尺で、当山の建長寺の梵鐘より2寸ほど小さくできている。