半坪ビオトープの日記

弥山へ


弥山(みせん)に上るため、大聖院からもみじ歩道を通ってロープウェイ乗場に向う。すると間もなく展望が開けた所に出る。眼下には厳島神社が見下ろせる。

州浜の潮もすっかり引いて、大鳥居の根元まで歩いて近づくことができている。2m近くも藤壷などの貝殻らしき物が付いているのが見えるので、干満の差は2mはあるのが分かる。太さも1.5mほどありそうだ。

藤の棚公園を過ぎると右側に四宮神社がある。1間社流造の檜皮葺き。祭神は、加具土神、燃え輝く火の神である。旧暦8月1日に「たのもさん」という例祭が神社前で催され、夜になると千代紙等で飾られた祝い船「たのも船」が大鳥居に向けて流される。安芸の宮島の秋の風物詩となっている。

やがて紅葉谷川に架かる朱塗りのもみじ谷橋を渡ると、ロープウェイの紅葉谷駅はすぐ近くである。

はじめは1分間隔の8人乗りのゴンドラで、乗換駅の榧谷駅に向う。弥山原始林の中を上がっていくと、瀬戸内海の海が見え始め、10分で乗り換える。

次に15分間隔の30人乗りのゴンドラで獅子岩駅に向う。原生林の中に奇岩怪石が点在している。徐々に広がってくる瀬戸内海に見とれる間もなく、4分ほどで標高433mの獅子岩駅に着く。

一周1時間の標準コースで弥山山頂に向う。標高差約100mというが、最初は先ず下っていくので、山頂が一層高く見える。

7分ほど下って、紅葉谷コースの登山道と合流する鞍部に着くと、「天然記念物弥山原始林」の石碑が立っている。古くから信仰の対象として手つかずの自然が残る弥山の北側斜面には、暖温帯性針葉樹のモミと南方系高山植物ミミズバイの同居やヤグルマの群落など特異な植物・植生の分布が見られる原始林が存在し、国の天然記念物に指定されている。

鞍部から石段が延々と続く古い参道をひたすら上っていく。所々視界が開けるが、鬱蒼と茂る原生林に囲まれている所が多い。

ようやく海が望める所に躍り出た。振り返ると彼方に獅子岩駅が見える。下った分だけ上ってきたようだ。海には小島が浮かび、紅葉の季節にはさぞかし見事な景色になると思われる。