半坪ビオトープの日記

花蔵院


鴨川市和泉の広々とした田んぼの奥に、生け垣に囲まれた花蔵院がある。

真言宗智山派の寺院ということだが、創建などの詳細は分からない。

本堂向拝虹梁の丸彫りの竜は、波の伊八三代目・武志伊八郎信秘の作であり、初代に劣らず迫力に富んでいる。竜の下の虹梁両端には波の彫刻がある。

兎の毛通しの天翔る鳳凰も見事な出来映えだが、その奥の中備全面の渦は雲であろうか。製作年は天保7年(1836)で、三代目が弱冠20歳の作であることが素晴らしい。
他にも本堂欄間の彩色ある透し彫りも三代目の作といわれるが、残念ながら見ることができなかった。

虹梁裏面から見た持ち送りの波も精巧に彫られていて、右の波間には小鳥が波に捕われそうになっている。何ともきめ細かな独創的な意匠である。

木鼻の獅子鼻や象鼻も生き生きとしているが、虹梁両端の波間には亀がいて、鋭く迫る波は竜の爪のように尖っている。虹梁の下の持ち送りには、波間に麒麟と思われる瑞獣が遊んでいる。

本堂に向って左側には墓地があり、その全面に大きな石像が建っている。よく見ると台座には、当寺中興・法印隆典像と刻まれている。

境内は全体的にすっかり整備されているが、入口近くに、歴史を感じさせるような古仏がいくつか並べられていた。