半坪ビオトープの日記

梵天岩への急坂


湿原の終わりに大凹の水場がある。少しだが冷たい清水が落ちてくる。

いよいよ急坂を登り始めようとするとき、道端にアザミが咲いていた。ナンブタカネアザミ(Cirsium nambuense)である。岩手山栗駒山鳥海山、月山、飯豊山地西吾妻山の高山帯の草地に特産する多年草で、高さは50cmほどになる。茎には白い毛が密生し、茎葉の基部は茎を抱き、葉の切れ込みが深く棘が鋭い。花期は8~9月で、斜め上向きに紫色の頭花をつける。

笹原の中の登山道は岩がゴロゴロする急坂だが、足下を見ながら休まず登り続ける。

道端の赤い実は、イワハゼ(Gaultheria ovatifolia ssp. adenothrix)の実である。北海道、本州、四国の山地帯〜高山帯下部の林縁に生える常緑小低木で、よく分枝して高さは10~30cmになる。上部の葉腋に白い花が1個ずつ咲く。果実は径約6mmで赤く熟し、食べられる。シラタマノキ属のシラタマノキを別名シロモノと呼ぶが、同属のイワハゼの別名はアカモノという。

急坂を登って後ろを振り返ると、中大巓(1,963m)のなだらかな山容が見える。頂の左奥に北望台があり、右の山肌に見える登山道の右奥が人形石である。

中大巓の右手には東大巓(1,927m)へと続くなだらかな稜線が見える。

さらに右を眺めると、中吾妻山への山並みの向こうに、一切経山(1,949m)と東吾妻山(1,974m)が垣間見える。

急坂を上り詰めて梵天岩に近づいても、西吾妻山の山頂はまだ左の先に眺められた。

枯れ野原の道端に、ミヤマリンドウ(Gentiana nipponica)がひっそりと咲いていた。北海道と本州の中部地方以北の高山帯の草地に生える多年草で、高さは5~10cmになる。花は帯紫青色、花冠は筒状鐘形で5裂する。裂片と裂片の間に副片があり、裂片とともに平開する。