半坪ビオトープの日記

下山の道


戻りかけたところで、コマクサ(Dicentra peregrina)を1株だけ見つけた。いつも砂礫地の中にぽつんと咲くので、人嫌いの目立ちたがりやなのかと思う。子葉の発達が悪く、双子葉植物なのに子葉は1個しかでない。

エイコの沢上流部のチシマアザミにエゾシロチョウが吸蜜していた。一緒に吸蜜しているハナマルバチは、エゾコマルハナバチ(Bombus ardens sakagamii)の雄蜂と思われる。けむくじゃらの全身がレモンイエローなのが特徴であるが、ハナマルバチは種類が多く、女王蜂、働き蜂、雄蜂で形や色柄が異なるので見分けが難しい。北海道では11種のハナマルバチが確認されているが、農業の受粉用に利用されているセイヨウオオマルハナバチが野生化して生態系を攪乱している問題があり、北海道でも警戒して生息調査が進められている。

エイコの沢上流部からもう一度、緑岳を眺めてみる。ここから見ると簡単に登れそうだ。山頂近くの大岩ゴロゴロは見えない。

雪渓の脇にはウコンウツギが咲いているが、すでに盛りを過ぎているようだ。

道端で見つけたきれいなゴミムシは、オオキンナガゴミムシ(Poecilus samurai)と思われる。日本全土で見られる普通種のキンナガゴミムシ(P. caerulescens encopoleus)より大型で、北海道及び本州に生息し、エゾキンナガゴミムシとも呼ばれる。オスの金属光沢は緑青色でとりわけ美しい。ゴミ虫類は似たものが多く、色沢にも幅があり、判別が難しい。属名もPterostichus ともされるが、種小名のsamurai は珍しい。

山の下りは一般に膝が辛いものだが、花畑が続く緑岳の登山道は花を見ながら快適に下ることができる。第二花畑に咲くコエゾツガザクラの群落も可愛い。

こんどはエゾシロチョウがピンク色の鮮やかなエゾコザクラに吸蜜していた。

見渡す限りのチングルマの大群落にはどれだけの花が咲いているのだろうか。大雑把に見積もっても数万はありそうだ。

高山帯の風衝地やハイマツ林の林縁に咲くキバナシャクナゲは、大雪山では本州では見られないような大群落をつくる。

大雪山では今まで花が終わっていて見かけなかったミネズオウ(Loiseleuria procumbens)の花をようやく見つけた。北海道と本州中部地方以北の高山帯の岩礫地や岩壁に生える常緑小低木で、地を這って分枝し、高さは3~6cmと低い。葉は対生し、幅2mmの線状長楕円形で。花は赤みを帯びた白色で枝先に3~5個つく。花冠は5裂して平開し、上を向いて星のように咲く。花期は6~7月である。