半坪ビオトープの日記

室堂平


ようやく立山室堂バスターミナルに着いた。まだ小雨がぱらついていたので、雨支度をして外に出たらすでに雨はやんでいた。しかし、雲と霧が間近まで下りていて、立山三山はおろか途中の峠である一の越も見えなかった。

悪天候にも関わらず登山客、観光客が多く、ターミナル前はたいへん賑わっていた。

それぞれの宿舎に向って四方に散っていく。

天気は悪くても久しぶりに見る高山植物にわくわくしながら、早くも写真を撮り始める。これは、キジムシロ属のミヤマキンバイ(Potentilla matumurae)である。北海道と本州中部地方以北の高山帯に生える多年草で、キジムシロとよく似るが、小葉には大小不揃いの鋭鋸歯がある。

こちらは、キンポウゲ属のミヤマキンポウゲ(Ranunculus acris ssp. subcorymbosus var. nipponicus)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山から高山の湿性草原に生える多年草で、葉は深裂し、黄色の花弁は光沢がある。

こちらの赤い花は、イワカガミ属のコイワカガミ(Schizocodon soldanelloides f. alpinus)と思われる。北海道と本州の亜高山から高山の草地、岩礫地に生える多年草。イワカガミの種類は多く、花数や向き、葉の鋸歯の様子で判断するのだが見分けが難しい。

こちらの白い花は、チングルマ属のチングルマ(Sieversia pentapetala)である。北海道と本州中部地方以北の高山帯の雪田周辺に群生する多年草で、花後、花柱が羽毛状になり風になびく。

こちらの薄クリーム色の小さな花は、日本の代表的な高山植物であるツガザクラ属のアオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)である。北海道と本州中部地方以北の高山帯の岩礫地に生える常緑小低木で、雪田周辺に群落を形成する。

雪田の下に見えるミクリガ池には、まだ解けきらぬ雪の固まりが氷山のように浮いていた。

室堂バスターミナルを振り返ると、大きな雪渓や草原に咲くコバイケイソウの群落が見える。
どんよりと雲と霧が垂れ込めているが、久しぶりに目にする懐かしい高山植物のあれこれに心躍る。