半坪ビオトープの日記

足立美術館


戦国時代に山陰の覇者として名を馳せた尼子氏の居城、富田城跡の2kmほど手前に、横山大観の作品と日本庭園で有名な足立美術館がある。

入館してすぐに見える「苔庭」は、杉苔と赤松を中心に白砂と組み合わせた京風の雅な庭に仕立てられている。

足立美術館は、安来市出身の実業家・足立全康が、昭和45年(1970)に開館した。

庭園は「苔庭」「枯山水庭」「白砂青松庭」など6つで5万坪に及び、手入れがよく行き届いていて、アメリカの庭園専門誌で10年連続庭園日本一に選出されている。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」においても三ツ星☆☆☆評価を得ている。

庭園の中心にある「枯山水庭」では、中央に配置された三つの立石が峻厳なる山を表し、そこから渓流、大河と流れ行く様を伝統的な枯山水の手法で表現している。借景として、戦国時代に尼子氏と毛利氏が合戦した際、毛利軍が陣を張ったという勝山が聳えていて、奥行きを感じさせる。

大きな一枚ガラスの窓の外に、屏風絵のように見える情景は「生の額絵」といわれる。背景の高さ15mの鶴舞の滝は人工滝だが、動きと涼味を感じさせて出来過ぎの感がある。

横山大観展示館を浮御堂のように抱く「池庭」は、池に架かる石橋や水面に映る影が変化を与えて観る者の心を和ませる。

枯山水庭」の左に続く「白砂青松庭」は、横山大観の名作「白砂青松」の持つ雰囲気を繊細に表現したといわれる。

鶴舞の滝も借景にした、白砂と松の緑のコントラストが印象的である。
「庭園もまた一幅の絵画である」という創設者の情熱を生き生きと伝える庭園は、春の花、夏の新緑、秋の紅葉に冬景色と、四季を通じて自然の移ろいを楽しめる、まさに日本一の庭園である。