半坪ビオトープの日記

円覚寺、方丈


唐門の奥にある方丈は、昭和4年建立の入母屋造の壮大な建物である。方丈とは、インドの維摩居士の居室が一丈四方だったことに由来する。

本来は住職の居間であるが、多くの宗教行事がここで行われる。

方丈の前庭、唐門内側のビャクシンの左手の塀の内側に沿って百観音がある。江戸時代、拙叟尊者が百体の観音石像を奉安し、洪川老師の明治時代に整備され、震災後も一山をあげて復興につとめた。

元は塔頭松嶺院の地内にあったが、後に方丈の前庭に移された。

方丈の裏には心字池を中心とする禅宗庭園があり、近年江戸時代の姿に改修された。

方丈庭園の左手の参道の左に妙香池がある。門前の白鷺池とともに創建以来の庭園であると伝えられ、自然の岸壁を景色に取り込んだ名園である。庭園北壁に露出する大きな岩が「扶桑五山記」に伝える虎頭岩である。白鷺池とともに昭和7年に国の史跡名勝に指定されている。

妙香池の先を左に入ると、無学祖元の塔所正続院があるが、本派専門道場との札が懸けられているように、出家入道僧の座禅道場のため立ち入り禁止である。

中をのぞくと中門の奥に舎利殿の屋根が見える。現在の舎利殿は、西御門にあった太平寺の仏殿を室町初期に移築したものとされるが、鎌倉時代禅宗様の特色を色濃く残し、鎌倉の建築物として唯一の国宝に指定されている。裳階を有する単層入母屋造で、花頭窓・扇垂木・桟唐戸等に禅宗様の特色が見られる。内陣には明和2年(1765)に作られた御宮殿に、源実朝が宋の能仁寺から請来したという仏牙舎利が納められ、脇侍に観音菩薩像と地蔵菩薩像が安置されている。舎利殿の奥には開山堂があり、開山仏光国師座像が安置されている。