半坪ビオトープの日記

二岐温泉、甌穴風呂


会津下郷町から白河に向かい蝉トンネルをくぐると天栄村に入る。すぐ右手の二岐川沿いの山間に入り、谷を進むと二岐山(1544m)の麓に二岐温泉がある。

平安時代の安和2年(969)の政変で皇位継承に破れた宮人が、薬湯を求めて川底に湧く現在の元湯自噴泉甌穴風呂を発見し、今日に至ると伝えられている。

古くは「二俣」と記され、江戸時代から明治にかけては「二股」と、そして現在は「二岐」と表記が変わっている。
江戸時代に発行された日本最初の山岳本「日本名山図会」には、全国90の名山の中に二股山がノミネートされているという。

手を伸ばせば二岐川に届くほど眺めの良い渓流露天風呂は、原則男性用である。

ブナの原生林に囲まれた山深いこの山奥に、江戸時代に旅籠を営んでいたのは大丸屋一軒だったが、今は数軒の宿がある。渓流風呂には、岩風呂が二つある。

下流にある子宝露天風呂は、原則女性用である。夕食後に男女入れ替えの時間帯がある。

天然の川底をそのまま生かした混浴の自噴泉甌穴岩風呂は、享保13年(1728)に造られ、湯船の底の岩の割れ目から気泡を出しながら温泉が自噴している生きた温泉である。でこぼこの湯船の底には大きな甌穴(ポットホール)があり、昔は川だったことを雄弁に物語っている。