半坪ビオトープの日記

那須湯本 殺生石


週末に那須の茶臼岳に登ろうと朝早く出かけたが、ロープウェイ乗り場の手前でひどい渋滞に遭い、ハイキングをあきらめた。那須高原展望台から見た那須連山は、紅葉の真っ盛りだった。
一番左の山が櫛ヶ峰(1638m)、中央やや右手の丸い山頂が茶臼岳(1915m)、その右の尖った山が朝日岳(1896m)である。

ロープウェイの山頂駅は茶臼岳の9合目で、そこから山頂まで40分程で登れ、朝日岳との鞍部を下って1時間程で山麓駅まで戻れるはずなのだが、次の機会にまわした。

那須湯本にある殺生石だけは見ておきたいと思い、少し戻った。那須湯本温泉最古の共同浴場である「鹿の湯」の向かい、西側に殺生石がある。
湯川橋から上流にかけて広がる河原には、いたる所に溶岩が転がり、硫黄のにおいがする亜硫酸ガスが噴出している。

木道が二つに分かれる右手に「盲蛇石」がある。昔、五左エ門という湯守が晩秋に盲目の大蛇がうずくまっていたのに出会った。湯守は冬越しのために小屋を作ってやったが、春になって小屋を覗くと大蛇の姿はなく、かわりに一面湯の花で埋め尽くされていたという。湯の花の作り方を伝授されたと感謝した村人達は、この蛇の首に似た石を「盲蛇石」と呼んで信仰するようになったそうだ。

「盲蛇石」の先に「湯の花採取場」がある。那須温泉の人々は、徳川幕府の頃から年貢米のかわりに湯の花を納めていた。湯の花とはミョウバンのことである。噴気の出る所に赤土をしめかため雨水がしみ込まないように茅葺き屋根を作る。半年経つとミョウバンが結晶し、湯の花が咲いたようになる。これを湯の花畑と呼び、春秋年二回採取したという。ミョウバンは、皮膚病の薬や漬け物の発色剤として使われ、現在では湯の花と呼ばれる入浴剤として使われている。