半坪ビオトープの日記


駒ヶ岳山頂近くの左手にキク科ウスユキソウ属のヒメウスユキソウ(姫薄雪草、Leontopodium shinanense)が咲いているのを見つけた。木曽駒ヶ岳の岩礫地のみに特産する多年草で、日本のウスユキソウ属の中では最も小さく、コマウスユキソウとも呼ぶ。ウスユキソウ属といえば、ヨーロッパに1種のみ産するエーデルワイス(L. alpinum)が有名だが、日本には5種も自生していて、本場スイスアルプスの大柄のエーデルワイスより、こちらのヒメウスユキソウの方が一段と可憐である。

花茎は高さ4〜10cmで、茎葉には白い綿毛が密生する。白い花弁に見える苞葉は6〜10個、直径2〜3cmの星形に開き、中心に薄黄色の頭花が2〜3個つく。近くの赤紫色のタカネシオガマや黄色いミヤマダイコンソウの間で、全体が雪化粧したような姿を見せていてなんとも風情がある。

ようやく木曽駒ヶ岳(2956m)の山頂にたどり着いた。木曽駒ヶ岳は、昔から信仰の対称とされてきた。古くは、暦応元年(1338)に高遠家親が山道を開設し、八社の大神を祀ったとされる。天文元年(1532)には、上松町の神官の徳原長大夫春安が頂上に駒ヶ岳神社(保食大神)を建造した。江戸時代には、上松町から信仰目的で盛んに登られている。現在も登山道にはその建造物が多く残り、山頂には木曾側と伊那側にそれぞれの駒ヶ岳神社がある。これが伊那側の駒ヶ岳神社である。石が高く積まれて風雪をしのいでいる。右に方位盤が見える。

こちらが木曽側の駒ヶ岳神社である。こちらも周りには石が高く積まれて風雪をしのいでいる。残念ながら北アルプス方面は、湧き立つ雲によって何も見えなくなっていた。

木曽側の駒ヶ岳神社には風雪にしごかれてきた鳥居が立ち、しっかりとした玉垣に囲まれた中に、小さいながらも千木のある社殿が建っていて、頂上本社の風格を備えている。
もちろん里宮は麓の上松町にあり、例祭で奉納される太々神楽は国の文化財に指定されている。

木曽側の駒ヶ岳神社のすぐ下には、鮮やかな紅紫色のタカネシオガマが固まって咲いていた。高山植物の中で最も華やかな花の一つであり、特異な形の花を密に咲かせていてよく目立つ。
よく似たミヤマシオガマとの違いは、葉の切れ込み方であり、こちらは大まかな切れ込みとなっている。