半坪ビオトープの日記


やがて池塘があちこちに見かけられるようになると、池塘の水面に廻りの風景が映るのに気づく。池塘尾瀬ケ原だけでも1500〜2000個はあり、大きさも2mほどから100m近いものまで様々ある。水深も10数cm〜3m以上とまちまちで、水深に応じて様々な生き物が棲み分けをしているそうだ。たとえばイモリなどは50cm〜1.5mの水深の池塘に棲むという。
景色に見とれて歩いていた人が、木道沿いの池塘にごくたまに落ちるそうだ。池塘の岸辺は浮島ができかかっていることが多く、つかんでも踏ん張りが利かないらしい。逆さ燧ヶ岳や至仏山はどうしても写真に撮りたくなるものだから、気をつけないといけない。

逆さ燧が撮れる場所からすぐ先に、珍しい浮島が見つかる。浮島とは、池塘の底部や固定島の軽石層部分が剥がれたり、岸辺のせり出した部分が剥がれるなどして、気温の上昇に伴いガスを含み軽くなって浮いているという。浮島が風に吹かれてゆらゆら揺れている様子は感慨深いものだ。

時折見かけてきたレンゲツツジ(Rhododendron japonicum)の花が木道沿いで咲いていた。北海道南部から九州までの日当りのよい高原に自生する日本特産種で、つぼみの様子が蓮華に見えることから名付けられたという。朱橙色の花が鮮やかなツツジで庭木にもよく利用され、黄色の品種もあるが、花や葉は有毒なので食べてはいけない。「ウマツツジ」「ベコツツジ」の別名もあるが、馬や牛は食べ残すのでレンゲツツジの群生地になっている牧場も多い。群馬県湯の丸高原は60万株もあって天然記念物となっている。

牛首分岐に近づくと、ヒメシャクナゲワタスゲの群生に混じって、小さなタテヤマリンドウ(Gentiana thunbergii var. minor)がたくさん見つかるようになる。中部地方以北と北海道の高地の湿地に生える2年草で、ハルリンドウの変種である。ハルリンドウより葉も花茎も少なく、小振りの花を上向きに一つずつ咲かせる。花は陽が当たっている時だけ開き、曇天や雨天の時は閉じてしまう。

ワタスゲがたくさん咲いている根元にも、タテヤマリンドウが群生している。ただし、小さいのでよく見ないと分かりづらいかもしれない。

この辺りには赤いナガバノモウセンゴケ(Drosera anglica)がたくさん生えている。北海道と尾瀬の高層湿原に自生する食虫植物で、アキアカネなどのトンボまで捕まえて食べるという。