半坪ビオトープの日記


群馬県福島県新潟県に跨がる尾瀬、特に尾瀬ケ原は、本州最大の高層湿原であり、とりわけミズバショウの群生地として人気がある。山の鼻近くでは木道の脇でも、遅れて咲いているミズバショウ(Lysichiton camtschatcense)を見かけるようになる。中部地方以北の日本海側および北海道の山地の湿地帯に自生する多年草で、花に見える白い仏炎苞を立てて群生する様は清楚な感じを与え好まれる。

西に見える至仏山(2228m)には少し残雪があってかえって清々しい。山の鼻からこの至仏山を背にして尾瀬ケ原を東に進む。

ここから尾瀬ケ原の木道を約14km歩いて1周する。進行方向の東には燧ヶ岳(2356m)が少しかすんで見える。

だだっ広い尾瀬ケ原の木道を進むと、全体的にはイネ科の細い葉が一面に生えているように見える。その中で目立つのはまず、白い綿毛を風になびかせているワタスゲ(Eriophorum vaginatum)である。中部地方以北および北海道の高層湿原に生える多年草で、花期は6〜7月である。

雪解けを待っていち早く咲き出すミズバショウだが、残雪が多かったところで大きな群落があれば、まだいくつも見ることができる。
白い花に見える仏炎苞は葉の変形したものであり、それに包まれている緑色の棒状のものが小さな花が多数集まった花序である。
葉は花の後に出るが、すでに多くの葉が大きくなっている。長さは80cm、幅30cmに達する。

ミズバショウと一緒に咲いているのをよく見かけるこの花は、リュウキンカ(Caltha palustris var. nipponica)という。本州、九州の山地の湿地帯、渓流沿いに群生するリュウキンカ属の多年草で、茎が直立し黄金色の花を咲かせることから立金花と呼ばれる。Caltha という属名は、ラテン語で「強い匂いのある黄色い花」の意味である。5枚の花弁に見えるのは萼片で、花弁はない。花期は5〜6月で、尾瀬では雪解けとともに咲き始め、木道沿いにも多く見られる。