半坪ビオトープの日記


夜叉門をくぐり拝殿の前、大猷院の中心に位置するのが唐門である。
承応2年(1653)に建てられた唐門は、1間1戸、高さ3mと大猷院内で最小の門である。
扉は両戒棧唐戸で上部には鳳凰、下部には唐草などの透かし彫りが施されている。門全体は金を基調に極彩色で彩られている。両側の袖塀の羽目には多くの鳩が彫られ、百間百態の群鳩とされている。

屋根は唐破風、前面は丸柱、背後は角柱で、破風内部には雌雄の双鶴、欄間には白竜、木鼻には獅子が彫り込まれている。

大猷院の中心伽藍は、拝殿・相の間・本殿から構成され、合わせて1棟が国宝となっている。建物全体に金箔が多用されていることから「金閣殿」とも呼ばれている。
拝殿は、桁行8間、梁間3間、入母屋造で、正面に大きな千鳥破風、向拝は軒唐破風になっている。建物全体が黒漆塗りの上に金箔を貼付けられ、彫刻を極彩色、高欄部を朱塗り、開口部を黒に塗るなど色分けし、本殿に比べると若干色調を押さえている。
拝殿内部も悉く金箔を置いた金殿玉楼で、広さは64畳敷である。中央に懸かる天涯は家光の妹(前田利常夫人)、大羽目前の蓮華の花瓶1対は紀州公、鶴亀の燭台は尾張公、釣燈籠はオランダ国王の献上によるもので、左右大羽目の唐獅子狛犬は、狩野探幽と永真安信の描いたものである。拝殿内部折上格天井には格子毎に140匹の竜が描かれている。
拝殿と本殿を結ぶ相の間の内部も拝殿同様結構の極みで、中央にある香炉等の三具足は前田利常の献上になる逸品であり、本殿との境には曻龍・降龍が描かれている。
特別公開で、お江の方の位牌ともども豪華な内部が拝観できてよかったが残念ながら撮影禁止だった。パンフの「日光大観」を買い求めておくしかない。

本殿は桁行5間、梁間5間、2層入母屋造銅瓦葺で、建物全体が黒漆塗りの上に金箔を貼付けられ、彫刻を極彩色、垂木・高欄部を朱塗り、花頭窓周囲を黒に塗るなど色分けして格式と調和を図っている。本殿の最奥部の厨子(御宮殿)の中には家光座像と霊牌が、その前後には家光の本地「釈迦如来」が奉安され、さらに奥壁の裏に釈迦三尊画像がかけられているという。金彩を施された唐戸には、内外に唐獅子の高彫が嵌められている。
東照宮が「権現造り」を中心とした神仏習合形式であるのに対し、大猷院廟は「仏殿造り」の純仏教形式となっている。つまり、拝殿・相の間・本殿は権現造りの形式をとる神社建築だが、基壇の上に腰組で持ち上げた裳階付の本殿は、禅宗様の本格的な仏殿形式であり、日光東照宮本殿が千木を持つ純粋な神社建築であるのと大きく異なっている。

本殿の左手裏、透塀の奥にも建物があるが詳細は分からなかった。

本殿の右手透塀を挟む形で建つこの門は皇嘉門という。中国・明朝の建築様式で造られ、白漆喰の壁が竜宮城を連想させるので「竜宮門」の別名をもつ。門の天井には天女の画像が描かれている。この門の奥が家光の墓所である奥の院になっているが非公開である。