半坪ビオトープの日記


表門をくぐってすぐ左側には、高く聳える高野槇(こうやまき)の木がある。東照宮の大造替を行った3代将軍家光が自ら手植えしたと伝えられ、幹の太さは約3m、推定樹齢は360年以上という。とちぎ名木百選に選ばれている。

その右に東照宮唯一の素木造りの神厩舎(しんきゅうしゃ)がある。室町時代武家邸宅の厩舎式によったものといわれる。左下が神馬の居場所である。

鎮座の際、慶長5年関ヶ原の陣において家康が乗った白馬が初代の神馬とされ、その後は幕府から奉献されたという。いまでも午前10時から4時間はお務めしている。

東照宮の建物には多様な動物の木彫像を見ることができるが、そのほとんどが平和を象徴している。
神厩舎には猿の彫刻を施した8枚の浮彫画面があるが、猿が馬を守る動物であるという厩猿伝承から用いられている。長押に5面、西側に3面あって、合計16匹の猿が彫られている。
この8枚で猿の一生が描かれ、ひいては人間の平和な一生の過ごし方を説いたものとなっている。左から赤ん坊期、幼少期、少年期、青年期、挫折と慰めと続く。

「見ざる、言わざる、聞かざる」で有名な三猿は、「幼少期に悪事を見ない、言わない、聞かない方がいい」という幼少期の教えである。三猿のモチーフ自体は古代エジプトにもあり、インドや中国、朝鮮半島にも似た話は多くあり、古来より世界各地にあったと考えられている。

西側の3面には、恋に悩む時期、夫婦で荒波を乗り越える、妊娠して出産を待つ母猿となっている。

神厩舎の前の参道を進むと、突き当たりに御水舎(おみずや)がある。今ではどの神社にも手と口を清める手水所・御手洗などの施設があるが、境内に独立した建物を構えたのは東照宮の御水舎が最初といわれる。
幅1.2m、長さ2.6m、高さ1mの花崗岩の水盤は、元和4年(1618)に鍋島藩主が奉納したもの。屋根の下には飛竜の彫刻がある。