半坪ビオトープの日記


この週末に友と連れ立って熱海のMOA美術館に行った。熱海駅前からバスに乗って急坂を上り詰めた処にある美術館には、尾形光琳の「紅白梅図屏風」や野々村仁清の「色絵藤花文茶壺」、手鑑「翰墨城」の国宝3点、重要文化財65点を含む日本美術の名品たる絵画・陶磁器などのほか、中国の陶磁器・青銅器などの収蔵品が3000点以上集められている。

本館に入ると長大な地中エスカレーターを何度も乗り継いで上っていく。エスカレーターの壁面や天井の幻想的な照明が刻々と変化していき、途中の円形広場に着く頃には、この建物の設計が天国への昇天をイメージしているのではないかと思うようになった。
世界救世教の教祖・岡田茂吉の蒐集品を中心に設立された私立美術館としての特徴が十分意識された建物である。

2階のメインロビーには、尾形光琳の「紅白梅図屏風」が展示されていたが、これはレプリカで本物は毎年2月に展示されるという。

能楽堂では定期演能会が催される。ちょうど前日に室生流の「石橋」が演じられたそうだ。

「黄金の茶室」は、太閤の黄金の茶室を復元したもので、秀吉が京都御所に組立式の黄金の座敷を運び、自ら茶を点じて正親町天皇に献じた記録に基づいた復元である。

開館30周年記念所蔵名品展として、絢爛豪華な「岩佐又兵衛絵巻」が3期に分けて展示されていた。最後になる「堀江物語」も12巻の大作で見応えがあったが、ほかの重文で牛若伝説の「山中常磐物語」や「浄瑠璃物語」もぜひとも見たかったと思った。全巻の展示は開館以来という。

西洋画家の名画としては、モネの「睡蓮」ほか1点に、レンブラントの「自画像」がある。23歳の頃の作品で、小さいながらも明暗のコントラストが印象深い。
茶の庭には、非公開の樵亭や抹茶を楽しめる一白庵があり、尾形光琳自らが書いた図面に基づいて復元された光琳屋敷も建てられている。