半坪ビオトープの日記


磐梯吾妻スカイラインは、高湯温泉から土湯峠に至る山岳道路であり、吾妻連峰を縦断する29kmの道のりは、日本の道100選にも選ばれている。作家の井上靖が「吾妻八景」を選んでいる。「白樺の峰」の次の「つばくろ谷」は、はるか80m下に見下ろす切り立った谷が美しい。ここは「天狗の庭」で、吾妻小富士が見える。

吾妻八景の中心地である「浄土平」(1577m)は、吾妻小富士 (1707m) と一切経山(1949m)に囲まれた平坦地で、古代から神仏の宿る所として信仰を集めてきた。大駐車場とレストハウス天文台がある。後ろに見えるのは東吾妻山(1975m)で、右に見えるのは蓬莱山(1805m)である。

吾妻小富士に向かい合う一切経山の付近一帯は、火山性の有毒ガスの影響で草木が育たない不毛の大地が広がる。吾妻小富士には有毒ガスはないが風が強いせいか草木は少ない。

吾妻小富士には、階段状に整備された道を15分で登れるが、一周1.5kmの火口は、歩いて40分ほどかかる。風が強かったので一周するのはやめて、火口の雄大な眺めをしばし味わう。

足下の浄土平の向こう、正面に見える一切経山(1949m)からは絶えず噴煙が上がっていて、この山が活火山であることを示している。名前の由来は、安倍貞任が仏教教典の一切経を山に埋めたという伝説による。明治26年(1893)の大噴火の際は噴煙が直径2000m、噴出容積はおよそ50万㎥にも達したという。近年では昭和52年(1977)に噴火している。浄土平から1時間強で登ることができ、山頂の北にはコバルトブルーの五色沼がある。

禿げ山の一切経山の南(左)、浄土平湿原の彼方に、緑豊かな東吾妻山(1975m)がなだらかな山容を見せている。一切経山から東吾妻山と安達太良山に続く稜線は、太平洋側と日本海側を隔てる、日本の中央分水嶺となっている。

吾妻小富士の山肌沿いに真南に見えるのは高山(1805m)である。