半坪ビオトープの日記

野付半島


午後は国後国道をまっすぐ南下し、標津町の標津川を越えたところで、左の別海町に属する野付半島に入って行く。左手には根室海峡の海が広がり、その先に国後島が見えている。

野付半島は、潮流によって運ばれた砂が堆積してできた、延長28kmにわたる日本最大の砂嘴であり、野付半島および砂嘴に囲まれた野付湾は、湿地の保全に関するラムサール条約に登録されている。この野付湾は、尾岱沼(おだいとう)と呼ばれるが、冬季は白鳥の飛来地として知られ、飛来する白鳥は一万羽に達する。野付湾西岸にある漁業集落あるいはその周辺も尾岱沼と呼ぶ場合がある。

野付半島の根元方向(北西)を見返ると、斜里岳(1547m)を中心とした知床連山西部が確認される。その右手にも連山は続いている。

北の方向には、羅臼岳(1661m)を主峰とする知床連山東部が見えるが、知床半島の先端部は霞んでくる。

知床半島の先端部の右手には、手前の国後島が見えている。国後島の南端にあるノツエト崎やケムライ崎は、一番近い野付半島から野付水道を挟んで約16kmの位置にある。

細長い砂嘴の右手(南)に見える野付湾の「野付」とは、アイヌ語の「ノッケウ(下顎)」に由来し、砂嘴の形状を鯨の下顎になぞらえた名だと考えられている。広くて浅い野付湾には、干潟やアマモ場がどこまでも広がっている。

野付半島には、オコジョ、ヤチネズミ、キタキツネ、エゾシカなどの哺乳類のほか、固有種のノサップマルハナバチなど多くの昆虫類も生息している。車内からもキタキツネが海岸をトコトコ歩く姿を見ることができた。

やがて右手(南)に湿地帯が見え、その先に林が見えてきた。野付半島には江戸時代の中頃まで、トドマツ、エゾマツ、カシワなどの樹種からなる原生林があったが、年々地盤沈下し、立ち枯れの森となっていった。半島先端はトドマツの原っぱから名付けられたトドワラという荒涼とした景観となっている。今見えてきた原始林オンニクル、ポンニクルも周囲から枯れてきて、特に枯れ木の多いところはナラワラと呼ばれている。そこにはミズナラ、ダケカンバ、ナナカマド、エゾイタヤなどが生えていて、特にミズナラが優占している。

先端部に近づくとネイチャーセンターがあり、野付半島の歴史や自然に関する情報が得られる。そこから湿地帯に沿って右に回り込むトドワラ遊歩道が始まり、その先には船着場があって、尾岱沼漁港への観光船が出ている。道路を直進すると野付崎灯台があり、竜神原生花園の先をなおも歩いていくと「幻の町キラク」があったという伝説が残る遺跡にたどり着くという。しかし、時間がないのでセンター周辺を見るだけにした。

広々とした湿地帯には多様な底生生物(甲殻類や貝類など)が生息し、それらを餌とするオオハクチョウ、タンチョウ、キアシシギなどの渡り鳥も数多く飛来し、その数は毎年2万羽以上になる。今までに確認された野鳥は約250種類に達し、その数は日本で確認されている鳥の約40%に相当するという。

氷河時代に日本列島はしばしば大陸と陸続きになり、マンモス象などが渡ってきた。野付半島沖などの北海道で発見されたマンモス象の臼歯からその生息した時代は約6〜4万年前とされる。野付半島分岐点近くのタブ山チャシ跡は、16~18世紀頃のアイヌ文化の遺跡であり、他にも半島にはイドチ岬チャシ跡やオンニクル遺跡、ポンニクル遺跡など多くの遺跡が見つかっている。江戸時代末期には会津藩が開拓と北方警備にあたり、その関連遺跡もある。

ネイチャーセンターの先にもエゾカンゾウなどの群落があるが、センターまでのフラワーロードの周辺にも御花畑があちこちにある。

ちょっと盛りの時期を過ぎていて数が少ないのが残念だが、濃黄色のエゾカンゾウや濃紫色のノハナショウブがちらほらと散見された。

カムイワッカの滝、ルシャ湾


知床半島クルーズは湾と岬を巡りながら進むが、ここがワシの鼻と呼ばれる岩だらけの岬。

よく見ると、その名の通り大きなワシが睨みを利かせている。知床には、海洋生態系の頂点に位置するとも言われるオジロワシオオワシが生息している。どちらも羽には白色と茶褐色が混じり、尾羽はどちらも白いので、一枚の写真から見分けるのは至難の技だ。肩の羽が白ければオオワシだが、白くないのでオジロワシと思われる。どちらも国の天然記念物で絶滅危惧種だが、オジロワシの方が絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類に分類されている。

定置網を避けて沖を回り込むと知床連山が視界に入る。左の大きな山が知床硫黄山(1562m)である。硫黄山知床半島唯一の活火山で、山頂や山腹に硫気孔があり、噴煙を上げている。知床半島にある第四紀火山のうち最大で、今から24万年前には活動を開始、安山岩や火山灰、溶岩などの噴出により成層火山を形成している。北西側中腹の爆裂火口は、多量の溶融硫黄を噴出する特徴的な活動を繰り返し、世界的にも珍しい噴火形式として知られている。

ヒグマを探すといってクルーザーが海岸に近づいたので、目を凝らしてみるがなかなかヒグマは見つからない。

大きな岬の手前に、いよいよカムイワッカの滝がかすかに認められた。

カムイワッカの滝は、硫黄山から一直線にカムイワッカ川となってオホーツク海へ注いでいる。河口付近は硫黄のため褐色になっている。谷のずっと奥のやや右上に、硫黄山の山頂がかすかに姿を見せている。

次の岬の手前の海岸に四角い岩が並べられたような景観がある。その岩はたわら岩と呼ばれている。

この細い滝は硫黄の滝という。この川も硫黄山から流れ下っている。

ウンメーン岩を越えて、さらに進む。前方に見えるのは知床岳(1254m)。今回、半島先端の知床岬までは、船便と時間の都合で残念ながら行けない。

またもや眺められた硫黄山の奥深い谷になんと橋が架かっている。知床五湖からカムイワッカ湯の滝を経由し知床大橋に至る北海道93号知床公園線のさらに先、知床大橋からルシャの海岸まで通じる知床林道の橋、知床第二大橋である。通称、硫黄山橋と呼ばれる。現在はヒグマが出没するため、カムイワッカ湯の滝より先は一般人立入禁止となっている。

ルシャ湾に入るといきなり風が強くなる。ルシャ下ろしという。海岸には漁のための番屋がいくつか見えてくる。「ルシャ」とはアイヌ語で「浜へ降りて行く道」という意味。秋になると大漁のサケやマスが遡上してくるが、その魚を求めてヒグマがよく顔を出す場所でもある。

ルシャの海岸のこの辺りにはヒグマが多く出るというので、船は近づいて行くがなかなかヒグマの姿が確認できない。残念ながら今日はどうも姿を表さないようだ。クルーズ船の帰りは沖合いを急いで戻った。

ウトロでの夕食は知床・網走をはじめとする海鮮料理が主体。まずは時鮭と鮫鰈のお造りに、エゾ鮑・桜鱒・油鰈の前菜。

こちらも知床の魚を代表するキンキの酒蒸し。高級魚のためめったに食べないが、油が乗っていて塩焼きよりも酒蒸しの方が美味しい。

こちらは北海道名産のホエー豚の和風煮込み。このほかにカニ入りふわふわ茶碗蒸しなどがあり、ビールや日本酒とともに味わうと、知床に来てよかったとしみじみ感じる。

フレペの滝


今年も知人の退職記念旅行を企画し、7月中旬に北海道知床半島の旅を満喫した。女満別空港から一路、知床半島の西海岸、ラウスに向かう。途中、小清水原生花園前を通ったので、中には入らなかったが道路沿いから眺めた。北海道の夏の海岸でよく見かけるハマナス(Rosa rugosa)の鮮やかな濃いピンク色が瑞々しい。ハマナスは、北海道に多いが、茨城県以北、鳥取県以北の海岸の砂地に自生する。バラ科バラ属で、名の由来は果実が梨に似た形をしているためで、茄子が訛ったものではない。

小清水原生花園オホーツク海と濤沸湖(とうふつこ)に挟まれた約8kmの細長い砂丘にあり、暗紫色のクロユリや、北海道では唯一ここに群生地がある黄色のエゾキスゲ小清水町の町花であるオレンジ色のエゾスカシユリ、北海道のシンボル花であるハマナスなど、およそ40 種の花々が咲き乱れる。この花がエゾスカシユリ(Lilium pensylvanicum)。北海道、樺太、シベリア、中国北東部などに分布し、北海道では道東、道北に多い。花弁の根元が細くて隙間があるため、和名の「スカシ」の由来となっている。

ウトロに近づくと、道路近くにオシンコシンの滝を認めたが、先を急いでウトロの海岸食堂で昼食をとった。少し小ぶりの生ウニ丼だったが、知床で最初の食事として生ウニをおいしく味わった。

昼食後、ウトロのすぐ北にある知床自然センターに行き、その裏手のフレペの滝遊歩道を歩いた。遊歩道入口には、最近のヒグマの目撃情報が張り出されていて、一瞬たじろぐ。まあ、大勢なので大丈夫だろうと高をくくる。天気が良いため草原は清々しいが暑く、木陰に入ると一息つく。

後ろを振り返ると、知床連山の山並みが見える。一番右手の高い山が羅臼岳(1661m)で、知床半島の最高峰である。知床富士とも呼ばれる活火山で、最近では2200〜2300年前、1400〜1600年前、500〜700年前までの3時期に活発な火山活動があったとされる。日本百名山、花の百名山に選定されている素敵な山だが、残念ながら体力不足では登れない。

笹原で小さなジャノメ蝶の仲間を見つけた。シロオビヒメヒカゲ(Coenonympha hero)という珍しい蝶で、北海道の中・東部のみに産する。国外ではヨーロッパ中部からシベリア、朝鮮半島、サハリン、南千島まで広く分布する。ジャノメチョウ類の蛇の目は一般に金環だが、この蝶の蛇の目は珍しい赤色の環である。ヒカゲという名とは裏腹に草原などの明るい場所で明るい時間帯に飛翔し、日が陰ると見られなくなる。

遊歩道を1kmほど進むと海岸の崖上に出る。右手にフレペの滝がいく筋にも分かれて落ちているのだが、残念ながら霧が次から次に湧き出て見えなくなった。晴天なのだが海には霧が発生していて、この後に予定しているクルーズ船が出港するか微妙な感じがする。

展望台の柵の周りに小さな白い花が咲いていた。ハコベの仲間のシコタンハコベ(Stellaria ruscifolia)である。和名は、色丹島で最初に発見されたことに由来する。北海道の知床半島根室地方、富良野岳、羊蹄山、本州の日光、中部地方の亜高山帯〜高山帯の岩礫地に生える多年草。全体に灰白色を帯び、茎や葉に細かな腺点がある。葉はやや厚く、花は直径約1.5cm。5弁花の花弁の先端は2深裂する。

遊歩道は崖の手前を大きく時計回りに回って戻っていく。ふと振り返ってみると、草藪の向こうにこちらを眺めているエゾシカを見つけた。屈みこんで草を食べているらしく、時々頭を出して見張っている様子だ。

遊歩道が終わって自然センターの裏手に出たところで、左の林の中にエゾシカの親子を見つけた。ヒグマにこそ出会わなかったが、エゾシカを間近に見ることができて、知床の自然に触れた気がする。

知床自然センターに入ると、ヒグマの毛皮が陳列されている。「素通り厳禁!」と表示され、「さわってください」と書き添えられていた。

生きていたアカガエル


先日、庭の大きな火鉢にアカガエルが浮いているのを見つけたので、網ですくいバケツに保護した。

カエル池と称して仕切られた一角の外側には、手入れもされず雑草の生い茂る開放的な庭があることにはあるが、小さな池が一つあるだけでカエルが住むのは難しい。その外れに大小二つの火鉢があって、メダカを飼っている大きな火鉢の方は一度入ったら二度と出ることができない。見つけなければいずれ溺れ死ぬところだった。

カエルは5cmほどの大きさの成体で、背側線がほぼ真っ直ぐなので、明らかにニホンアカガエルだ。昨年の春にニホンアカガエルのオタマジャクシを小さなカエルまで育てて、カエル池に放したが、そのカエルが一年でここまで育つはずがない。すると3年前の2015年にカエル池に放した2cmほどのニホンアカガエルが生き延びて育っていたことになる。

何れにしてもダンゴムシやアリぐらいしか餌のない庭で生きていたとは驚きだ。ひょっとしたら、昨年放した子ガエルが餌となったのかもしれない。急に暖かくなって冬眠から覚めて、餌や水場を求めてさまよった挙句、水草がたくさん生えている火鉢の水の匂いに誘われて、30cm以上もある火鉢に飛び込んでしまったのだろう。カエル池と称しても、なかなか居つかないカエルが、なんとか生き延びていた姿を見つけて、久しぶりにたいへん喜んだ。

鬱蒼と草の茂るカエル池に放したが、浮き草が繁茂していたので多少掃除した。いずれ池の周りの草木も刈らないと、カエルが歩き回る隙間もない。

一方、室内の大型水槽で飼っているアカハライモリに久しぶりに餌をあげようとしたら、イモリ一匹の腹が膨れて、ぷかぷか病(浮遊病)になって浮いているのを発見し、バケツに隔離して様子を見ることにした。ほとんど動かず、餌の赤虫も食べない。

90×45cmの大型水槽では、13年前に長野県の山間で捕まえたアカハライモリ4匹を飼っていたが、1年半前に「シマ」と名付けた1匹が痩せ細って衰弱死したので、現在は3匹が生き続けている。

これは腹の赤い川状の模様が比較的広いので「アカ」と名付けたイモリだ。この12年で黒い部分が増え、赤色がやや薄れて朱色となり、側面にある朱色の点の数がかなり増えている。

こちらは腹の模様がほとんど黒いので「クロ」と名付けたイモリだ。こちらも黒の部分がかなり多くなった。

ぷかぷか病のイモリも水を浅くして2日、バケツに隔離して様子を見ていたら、少しはゲップを吐いたようにも見えた。ほとんど動かないが、写真を撮るために持ち上げたら体をよじったので、まだ生きていることが確認できた。この腹の模様から「テン」とわかる。12年前には顎から下に黒点が多かったのだが、8年前には下腹部の黒地がかなり増えていた。
アカハライモリは体の太さに変化があっても、背中側は真っ黒で差はない。だが腹模様は極めて個性的で、その模様から名前を付ければ間違えることはない。

美ら海水族館、ジンベエ・マンタ


3階から2階におりてくると、美ら海水族館のメインスポット・「黒潮の海」の大水槽が見えてくる。脇から見るときには柱が邪魔になるが、大きなジンベエザメやマンタ、キハダ、カツオや数種のサメなどが悠々と泳ぐ姿に驚く。

ぐるっと回り込んで行くと、奥の最上段の観覧席からゆっくり見ている人がいる。ジグザグの道を下って行く間も、正面の巨大な水槽の中を泳ぐジンベエやマンタから目が離せない。

水槽の目の前から見上げる巨大な魚たちの悠々と泳ぐ光景は、この世のものとは思えないほど神秘的であり、神聖無垢な生命の力強く偉大な荘厳さに圧倒される。ジンベエザメは、サメや軟骨魚類としてのみならず、すべての魚類の中で現生最大の種であり、世界中の熱帯・亜熱帯・温帯の表層海域に広く分布する。約6,000万年前に登場したと考えられており、動きは緩慢で危険性の低いサメである。和名は、体表の模様が着物の甚兵衛(甚平)に似ることによる。日本各地の方言による呼称には、「いびすさが」(茨城)、「えびすざめ」(千葉、神奈川、静岡)、「じんべい」(福井)、「くじらぶか」(鹿児島)、「みずさば」(沖縄)などがある。

巨大なジンベエの向こうには、これまた大きなマンタが泳いでいる。マンタと通称されるオニイトマキエイ(Manta birostris)は、トビエイ科に属する世界最大のエイで、大きいものでは体の横幅8m、体重3トンに達し、毒針はない。

ジンベイのすぐ下にいる水玉模様のエイは、マダラトビエイという。黒い背面に白い斑点があり、長い尾の基部に毒針を持つ。世界中の熱帯・温帯の沿岸近くに生息する。他にもいろいろなエイが泳いでいるが、明らかな特徴がないと見分けがつかない。

マンタの手前で腹を見せているエイは、頭が飛び出るトビエイの仲間で、マダラトビエイと思われる。

やはりマンタは大きいだけでなく、なんとも優雅な姿をしている。世界中の熱帯・亜熱帯の特にサンゴ礁周辺に生息する。普段は外洋の表層を遊泳するが、沿岸域でも見られ、日本近海では石垣島周辺に多い。表層を遊泳しながら大きな口を開けて海水とともにプランクトンを吸い込み、エラで濾しとって食べる。繁殖は卵胎生で、生まれたばかりの子供でも体盤幅1m、体重50kg前後ある。およそ10年で成熟し、寿命は20年以上と推定されている。

館内を一通り見終わった後に4階に上がると、ジンベエ・マンタなどが遊泳する「黒潮の海」の大水槽を真上から観覧できるコースがある。黒潮探検(水上観覧コース)と銘打った人気のコースで、大きく動き回るジンベエザメの背中を目で追いかける、迫力満点の体験を味わえる。

1階には深層の海に住む生き物が飼育展示されている。これはオオグソクムシフナムシやワラジムシと同じ等脚類の仲間の大型種。海底に沈んだ生物の死骸などをあさって食べる海底の掃除屋。沖縄では水深500m以深からカゴなどで採取される。

海洋博公園内にあるエメラルドビーチが美ら海水族館の北に望まれる。大きなサンゴ礁に囲まれたエメラルドグリーンの礁湖(ラグーン)とコバルトブルーの大海原の対比が美しい。Y字型に3つに区分されたコーラルサンドの真っ白い人工ビーチは、「快水浴場百選」に選ばれている。

美ら海水族館の正面海側には、マナティー館、イルカラグーン、ウミガメ館などの屋外施設が並び、サンゴ礁の彼方には伊江島タッチューが特異な姿を見せている。
また、忙しくなって来たので、当分の間、かなりペースダウンすることになった。ご了承ください。

美ら海水族館、チンアナゴ


「熱帯魚の海」には他にも色々な魚が泳いでいる。大きな青い魚はベラかブダイの仲間と思われる。尾びれが黄色いのが特徴だが、残念ながら名前はわからない。

この大きなエビは、ニシキエビという。相模湾以南に生息し、沖縄では水深50mほどの岩礁サンゴ礁で見られ、淡青緑色の地にピンクや橙色の模様があり、触角と歩脚に黄色と黒色のまだら模様が特色である。色彩が美しく、食用にもされるが、伊勢エビよりは大味であるという。体長は50cmほどで体重は5kgに達することもある。

白くて太い奇妙なウツボは、2006年、沖縄で捕獲され生きたまま水族館に搬入された。キカイウツボの仲間で日本初記録種のため、「ダイオウキカイウツボ」と仮称されている。周りの黄色い魚は先ほども見たヒフキアイゴである。

こちらの細長い魚はなんだろうか。アナゴやハモにしては長すぎる。多分、ウナギ目に分類されるダイナンウミヘビと思われる。

美ら海水族館の生き物の中で最も可愛いと思うのは、チンアナゴといって間違いあるまい。子供だけに限らず、大人も群がって喜んでいる。何しろひょうきんな姿で穴から顔を出したと思うまもなく、スルスルっと引っ込んでしまう様子が可笑しみを誘う。このチンアナゴの体長は約40cm、体の直径は約1cm。体色は淡灰色で小さな黒い斑点が密に散らばり、所々に大きな黒班がある。

チンアナゴの名は、顔の感じが犬の狆(チン)に似るため名付けられたが、「珍穴子」とも表記されたりする。英名の「garden eel・ガーデンイール=庭のウナギ」は、頭を出し入れする様子が庭の植物が育つ様子を思わせるからといわれる。よく見ると、体に黄色の縞模様のあるものがいるが、それはニシキアナゴという近縁種である。

こちらはタツノオトシゴの仲間で、クロウミウマ(黒海馬)という。南日本を含むインド太平洋熱帯域に生息する大型種で、全長は30cmに達する。この水槽にいるのは、この水族館で生まれて3歳になっているという。メスはオスの育児嚢に産卵するが、オスは腹部が膨れてちょうど妊娠したような外見となり、「オスが妊娠する」ともいわれる。卵は孵化に2・3週間かかるが、仔魚は孵化後もしばらくは育児嚢内で過ごし稚魚となる。その後、オスは尾で海藻に体を固定し、体を震わせながら稚魚を産出する。

中央にはまたツノダシが優雅な姿で泳いでいる。その右奥の黒と黄色の縦縞の魚は、カゴカキダイである。右手前のフグの仲間の魚は、ハリセンボンである。鱗が変化した棘をたくさん身にまとい、敵を威嚇するときには体を膨らませて棘を直立させ、体を大きく見せて身を守る。

青い光の中に浮かび上がるクラゲたちの、ゆったりとゆらゆらした動きには癒される。このクラゲはタコクラゲという。関東以南の温暖な海域に生息し、カサに触手はないが、傘の下に8本の口腕があり、その先から細長い付属器が伸びる。その形がタコの足に見える外見からその名がつけられた。毒がないというので、安心して見ることができる。

水族館で鑑賞するクラゲは、プカプカ、スイスイと優雅に泳いでいるが、海に浮かぶクラゲは毒があって刺される危険がある。私も有毒のクラゲの触手が首に巻きついてひどい目にあったことがあるので、海の中で遭遇するのは好まない。沖縄県内に広く分布するこのハブクラゲは、死亡例があるほど猛毒のクラゲで、カサは10cmほどだが触手は1.5mにも達し、カサが半透明で見つけにくいため、要注意である。沖縄の海で最も被害が多い危険生物とされるので、覚えておいた方が良い。

美ら海水族館、熱帯魚


美ら海水族館には9時丁度に到着し、なんとか並ばずに入場できた。美ら海水族館は、本部半島備瀬崎近くにある国営沖縄記念公園・海洋博公園内の水族館で、沖縄本島随一の観光地として人気がある。

海洋博公園内には美ら海水族館の他にも、海洋文化館、沖縄郷土村、熱帯ドリームセンター、エメラルドビーチなどがあり、水族館の周りにもマナティー館、イルカラグーン、ウミガメ館などの施設があって、一日ゆっくりと見学しながら過ごすこともできる。正面の海に浮かぶのは伊江島で、東西8.4km、南北3km、総面積22.77k㎡の島の中央に海抜172mの城山(ぐすくやま)が富士山型の美しい姿を見せている。古くから航海の目印となっていて、島外では「伊江島タッチュー」の名で親しまれている。タッチューとは、沖縄の言葉で先端が尖っているものという意味である。

エスカレーターで上り、3階の入り口から「サンゴの海」「熱帯魚の海」と見学が始まる。「サンゴの海」にも熱帯魚がたくさん泳いでいるが、もっとも目立っているのはこの「コブシメ」であろう。ひょうきんな仕草に見えるが、悠然と堂々と泳ぐ姿を間近に見られるのは面白い。

コブシメは、コウイカ類の最大種で、泳ぎながら体の色を変えることができる。胴長50cm、胴幅27cmに達し、沖縄では「クブシミ」と呼ばれる。若い時に八重山の海の中で突然コブシメに出会った際は、大砲の玉かと思ってびっくりしたが、それと同じ位のほぼ標準の大きさで、胴長は40cmほどありそうだ。

サンゴの海に泳ぐ魚たちの種類は非常に多く、目立った色柄でないと判別しにくい。一番右の横縞の魚は、本州の海でもよく見かけるタカノハダイである。左手の黄色に白い筋が縦縞に入っているのはヨスジフエダイである。魚に限らず脊椎動物の縞模様は、背骨の軸方向に対して平行な向きを縦とするので、ヨスジフエダイは縦縞となる。魚を釣り上げた時のように頭を上に直立させて判定すると覚えておくと良い。  

こちらの青・黒・黄の鮮やかな三色からなる魚は、ナンヨウハギという。独特の体色が美しい観賞魚として人気があり、水族館でよく飼育されている。

前頭部に天狗の鼻のような突起をもつこの魚は、テングハギという。体色が褐色なものが普通だが、この個体はかなり薄い色をしていて、おちょぼ口とぎょろっとした目が可愛らしい。

大きなイソギンチャクに隠れるような魚は、ハマクマノミである。イソギンチャクと共生するので有名なクマノミの仲間は、ハマクマノミを含め日本には6種いるが、白い横縞や背中の白線により区別する。一本の横縞だけなのでハマクマノミとわかる。

サンゴ礁の魚といえば、最も美しい姿と思われるのが、このツノダシである。背びれの白い第3棘が糸状に長く伸びていてとても優雅である。また、体色の白、黒、黄色の配色も絶妙といえよう。周りの黄色い魚3尾は、ヒフキアイゴという。一見、イッテンチョウチョウウオかと思うが、可愛らしいチョウチョウウオと違って、各ヒレの棘には毒腺がある。稚魚は沖縄名物のスクガラスの材料となっている。ツノダシの右手の横縞の魚は、ロクセンスズメダイである。もっとも普通に見かけるオヤビッチャと極めて類似するが、尾びれに黒い筋が入るので区別できる。