半坪ビオトープの日記

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヨーロッパのキリスト教社会では、マドンナ・リリーとして純潔、処女性、優雅、尊厳を表すものとされてきた。このような白いユリの処女性、純潔性の象徴は、現在も初婚の花嫁の白いウェディングドレスやヴェール、白ユリの花束などに見られる。 かつては教会…

ユリ属の植物は古代から食用、薬用ならびに鑑賞用として広く利用されてきた。ギリシアのクレタ島にあるクノッソス宮殿(B.C.1500頃)の壁画には明確にマドンナ・リリーが描かれ、陶器にもユリの文様が描かれていたといわれる。 黄色の花被片の先が橙色になる…

日本にはユリの種類が多く、古代から観賞されてきた。「古事記」や「日本書紀」には佐由利、左由利、山百合草などの表記があり、「万葉集」の中には短歌、長歌合わせて十首を超えるユリの歌がある。 この花は、ピサ(Pissa) とかモナ(Mona) という品種に似…

最も多く園芸品種が作出され、道端でもよく見かけるユリは、上向きに盃形に咲くスカシユリ系であろう。北海道に自生するエゾスカシユリ(Lilium dauricum) と本州中北部に自生するスカシユリ(L. maculatum) は、江戸時代初期から交雑され100種以上作出さ…

真っ赤な星型の美しいこの花は、ベンケイソウ科タキツス属のペルス(Tacitus bellus) という。メキシコ原産の多肉質の多年草で、1972年に発見され、1974年に新属、新種として発表された。 約3cmの5弁花を円錐花序に咲かす。これは、タキタス・ペ…

ユリ属の花は世界で約100種あり、内15種が日本に自生し、その半数は日本特産であり、しかも観賞価値が高いものが多く、園芸品種の親ともなって世界的に有名である。 ユリ属の分類は大きく4つに分かれる。テッポウユリ系、ヤマユリ系、スカシユリ系、カ…

6月を代表する花といえばアジサイだが、ユリの花もいろいろと咲き始める。6月上旬に咲き始めるのは、このテッポウユリ(Lilium longiflorum) だろう。属名は、古くから宗教画にも登場するマドンナ・リリー(ニワシロユリ、L.candidum) のギリシア名 leirio…

いかにもツキミソウ(月見草)といった風情のこの花は、オエノテラ(マツヨイグサ)属のテトラゴナ(Oenothera tetoragona) という。エノテラ属ともいう。 北アメリカ東部原産の多年草または二年草で、高さは30〜90cmとなる。近年出回っているのは、高…

マツバボタンといえば、夏の暑さに負けずに咲き続ける健気な可愛い花と思っていたが、早く咲く大輪の園芸品種がある。この花は、ドイツから戦前に導入されたポルツラカ属のマツバボタン(Portulaca grandiflora) のジュエル('Jewel')という園芸品種で、花…

アオイ科の小ぶりの花は、ラヴァテラ属トリメストリス(Lavatera trimestris) の園芸品種で、これは’ホットピンク’という。属名は、16世紀チューリヒの自然科学者ラヴァター兄弟の名にちなむ。和名はハナアオイ(花葵)属という。 地中海沿岸原産の一年草…

一般にトケイソウ属の花は、5枚の花弁と5枚の萼片が交互に並び時計のように見えるが、雄しべ他の形が著しく特異な姿をしている。 この花は、クダモノトケイ(Passiflora edulis) といい、食用として栽培されるとパッションフルーツと呼ばれる。属名のパッ…

クレマチス属の花はカザグルマに代表されるように杯状に平開するものが多いが、ほかにハンショウヅル(C. japonica) のように釣鐘型のものもある。 この釣鐘型の花もクレマチスの仲間で、アンスンエンシス(Clematis anshunensis) という。ユンナンエンシス…

クレマチスの名は「葡萄のつる」のギリシア語に由来するが、古代の人々は実際ブドウの仲間と信じていたという。 古代ローマ人は雷よけになると信じ、家の壁につるをはわせた。ところがドイツ人は逆に、稲妻を誘い落雷を引き起こすと考えていたといわれる。 …

江戸時代初期の狩野派によるテッセンの絵の後も、中期には伊東若冲などがテッセンやカザグルマの花の絵や文様を描いている。 その頃には白、桃、濃紫などの花色や、花弁の幅の変化や八重咲きも作られていた。 また、絵画だけでなく、織物の文様や金彫、木彫…

つるが針金のように強いので中国では鉄線蓮と呼ばれるテッセン(C. florida) の渡来は、江戸時代初期とされ京都の妙心寺天球院の襖絵が有名である。 しかし、桃山時代の高台寺蒔絵のテッセンの絵から桃山時代には渡来していたとする説も根強い。シーボルトが…

紫色系で代表的な花といえば、ザ・プレジデントであろうか。この花は、それに似たハクオウカン(白王冠)に近いと思われる。 クレマチスの中で早くから栽培されてきたものは、地中海沿岸原産のビチセラ(viticella) 、中国原産のテッセン(florida) 、日本原…

モンタナ系とは、中国西部からヒマラヤにかけての高山地帯(2000〜3000m)に自生するモンタナ(Clematis montana) を親とする園芸品種を指す。もちろんモンタナとは、「山地性」という意味である。 これは白花の代表である「スノーフレーク」と思わ…

大輪のクレマチスは普通5月頃から咲き出すが、今年は4月から咲きだした。あまりにも多くの園芸品種があって、時間をかけて調べてもなかなか特定できない。遅ればせながら、色柄によって大雑把に区分けして取り上げていく。 これは早咲き大輪(パテンス)系…

タチアオイによく似た姿のこの花は、ゼニアオイ属のゼニアオイ(Malca sylvestris var. mauritiana) という。属名は、ギリシア語 malache(柔らかくする)のラテン古名で、この植物の持つ粘液に緩和剤の効能があることにちなむ。 南ヨーロッパ原産のウスベニ…

庭で栽培される草花のうちでヒマワリに次ぐ高さ(2m前後)を誇るのは、アオイ科タチアオイ属のタチアオイ(Alcea rosea) であろう。属名は、古代ギリシア名 alkea に由来する。広くアルタエア属(Althaea) とする分類もある。和名はタチアオイ属という 。 …

キスゲの仲間はほとんどそっくりに似たものが多く、都会で見かける場合、種名の同定が難しい。野山に行けば、ヤブカンゾウ、ノカンゾウ、ゼンテイカなどが日本でも自生している。 ともあれ、都会で栽培されているものとしてもっともよく見かけるのは、このゼ…

小さな青い花は、トベラ科ソリア属のヘテロフィラ(Sollya heterophylla) という。属名は、イギリスの植物学者ソリー(Solly) の名にちなむ。 ヘテロフィラは、オーストラリア西部原産の常緑つる性低木で、高さは1mほどになる。 和名は、ヒメツリガネとい…

ヒメノボタンと呼ばれる植物は3つほどある。いずれもノボタン科だがノボタン属(Melastoma) ではない。最も正しいと思われるのは、オスベッキア属のキネンシス(Dsbeckia chinensis) で、九州や沖縄に自生するヒメノボタンで、園芸品種もあって最もノボタン…

カンパヌラの仲間は花の形が似ているものが多く、種名を同定することが難しい。もっともよく見かけるのはこのオトメギキョウ(Campanula portenschlagiana) であろう。 バルカン半島アドリア海沿岸のダルマチア地方原産の多年草で、高さは15cmほどである…

もっぱらヒメフウロの名で流通している可愛いこの花は、フウロソウ科エロディウム属のライハルディー(Erodium reichardii) とコルシクム(E. corsicum) との交雑品種(E. × variabile) である。属名は、ギリシア語 erodios(アオサギ)に由来し、柱頭と子房…

ユキノシタに似た葉の間から長い花茎を伸ばし小さな花をたくさん咲かせているのは、ユキノシタ科ホイヘラ属のツボサンゴ(Heuchera sanguinea) という。属名は、ヴィッテンベルクの医学教授ホイハーの名にちなむ。和名は、ツボサンゴ属という。 メキシコ北部…

初夏の黄色のキク科の花で最も目立つのが、このオオキンケイギク(大金鶏菊、Coreopsis lanceolata) であろう。コレオプシスという属名は、ギリシア語 koris(ナンキンムシ)と opsis(類似)に由来し、果実の形にちなむ。和名は、ハルシャギクで、「ペルシ…

ナデシコ類で最も品種改良が進んだのはカーネーション(D. caryophyllus) だろう。英名の carnation が有名で、江戸時代に渡来した時の和名であるオランダセキチクや、別名のアンジャベルという名はすたれた。 カーネーションという種名の由来には諸説あるが…

高さ20cm内外の小ぶりのナデシコの多くは、セキチク(Dianthus chinensis) の園芸品種である。中国原産の多年草だが、園芸上は一年草として栽培される。 かなり古く日本に渡来し、万葉集にも登場する。日本のナデシコと区別するためカラナデシコ(唐撫子…

ナデシコ科ナデシコ属の花は、ヨーロッパ、アジア、アフリカに300種ほどある。日本にも4種自生するが、園芸品種も多く都会で見かけるものは野生種と同じか区別しにくい。 これは日本全国に分布するカワラナデシコ(Dianthus superbus var. longicalycinu…